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「あら、そうなんですか?」
ふふっと意味ありげに笑って、カルテを片付ける胡蝶様に笑い返す。恋仲になったことはあまり人に知れ渡らない方がいいのかな。仮にも実弥は、鬼殺隊最高位の柱だ。
お茶でも如何ですか?と言われ、遠慮なく椅子に座りお茶をいただく。辛子煎餅を出してくれ、それをばりぼりと食べる。
「ーーー不死川さんとはその後どうですか?」
「……!」
思わず飲み込んだ煎餅が気管の方に入ってしまうところだった。死因が誤嚥性肺炎とか嫌です。お茶を読んで、親しくさせてもらっていますと答えた。
「隼人のこと可愛がってくれてますし、ほんとよくしてもらってますよ」
「あら、進展はないんですか?」
「何もないですよー。もう、胡蝶様ったら」
ホホホ……と笑って「じゃあもう行きますね!」とお茶を一気に飲むと逃げるように部屋を出た。いやはや、胡蝶様まるで知ってるかのような質問ばかり。
私、知らぬ間に実弥のことが好きですって言ってしまったのかな。覚えがない。
胡蝶様の部屋を出て、廊下を曲がると誰かと思いっきりぶつかった。ぶつかった衝撃で弾き飛ばされそうになる。体を支えられ、ふわりと匂った香りに顔を上げた。
「実弥、来てたんですね!」
「オイ、A。てめぇ、どういうことだァ」
「なんのことですか?」
ん?と実弥を不思議に見つめていると、拳を握った彼が壁に手をついた。……というより、壁に拳がめり込んだ。
へ?とサーっと青ざめる。そうすれば怖がらせたことに気づいたのか、「あ、悪ィ。つい」と。
「つい」でこんなことになるのだろうか。
「何か怒ってます?」と恐る恐る聞く私に、彼は「あ"ァ」という。出会った時から思っていたけれど、やっぱり怒ると怖いのは関係が変わっても同じらしい。
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そちゃ(プロフ) - コメント失礼致します。不死川さんのお話、全て読ませて頂いてます!本当にいつも素敵なお話を書いてくださり、ありがとうございます。リクエストで怖い風柱に彼女がいて周りが驚いてるシーンとか見たいです!無理なさらず、更新頑張ってください!応援しています! (2020年6月7日 7時) (レス) id: 55966089fd (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - はあ…天に召されそうだ。 (2020年6月5日 13時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - コメント失礼致します!いつも読ませて頂いております!顔のニヤケが止まりません!更新、頑張って下さい!!! (2020年5月30日 17時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
えへへ - うあー好きすぎる!甘風柱さん最高です!ご都合血鬼術、風柱さんがかかってしまうやつを読んでみたいです!いつも素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 29ed1ff5eb (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 続編おめでとうございます!私も補導されたいです-_-bリクエストで弟くんと不死川さんを取り合うとかその逆とか見たいです^_^! (2020年5月29日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月29日 19時