ただいま、愛おしい人【不死川実弥】

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「炭治郎くん、こんにちは」

「Aさん！ご無沙汰してます」

「え、炭治郎、このすっごく可愛い人誰？！」



炭治郎くんのいる病室には、炭治郎くんの他に黄色い頭の子となぜか猪の被り物をしている子がいた。アオイちゃんに薬茶を飲ませられている黄色い頭の子は飲むのを拒否しながら私の方へとやってきた。


手を取って、「すごいかわいくて綺麗ですね。しかも音もすごい綺麗だから、性格もいいんですね」とちょっと理解不能なことを言い出した黄色い頭の子。



「すみません、Aさん。善逸はかなり変なんです」

「……あ、そうなんだ」



「俺は変じゃねぇ！！」と大きな声で喚き散らしている黄色い頭の子は我妻善逸くん。そして、何故か天井に張り付いている子は觜平伊之助くん。天井から逆さまになっているせいか、伊之助くんの被り物がぼとりと床に落ちた。



「……………女の子？」

「俺は雄だ！！！」



思わず二度見してしまうほど、綺麗に整った顔の子だ。美少女、と言っても過言ではない。しっかりと地に着地し、私を見つめてくる彼に手を伸ばして「可愛い」と頭を撫でる。


ほわほわと花を散らす伊之助くんは「クソッ！俺をホワホワさせんじゃねぇ！！」と床に落ちている被り物を再び被った。


炭治郎くんと久しぶりにお話をしていると、急に彼はスンスンと匂いを嗅ぎ出す。前に鼻が普通の人より良いとか言っていたっけ。匂いで感情や鬼の居場所とかわかるって。



「Aさんから不死川さんの匂いがします。なんだろう、全体から不死川さんの匂いが……」

「……へ？」

「いつも不死川さんの甘い匂いがするんですけど、今日は特に濃ゆいですね！」



顔をカァッと赤くしていれば、善逸くんが「炭治郎！お前そんな野暮なこと言ってんじゃねぇ！！」と頭を叩いていた。


実は昨夜同じ布団で一緒に寝てました、なんて年下の子たちには言えない。そんなに実弥の匂いがするかな、と自分の服を匂ってみるけどわからなかった。



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