43 ページ45
*
前世の世界に来て4日目の夜。
また、あの時の夢を見た。次は鮮明に映し出されている。そう私の屋敷だ。母と父と隼人の4人で暮らしていた屋敷。
両親が死んだ後もそこにいて、恋仲になった不死川先生が時折うちに来ていた。隼人の遊びに相手になってくれたり、隼人が気を利かせては二人きりにしてくれたり。たくさんの時間を過ごしたところ。
『…………なんで……っ』
そうあの日の夜。
突如やってきた鬼は、実弥に復讐するために私のところに来たと言っていた。すぐそばにいた隼人をあの鬼は殺したんだ。動かなくなり、徐々に冷たくなっていく隼人を抱きしめて泣いていた。
守りたかったものを失った時、私はその失望感に我を忘れてただただ隼人を抱きしめていた。すぐに鬼の首をとっていれば、なにも起きなかったのに。それをしなかった。
なにか注射針のようなものを刺された。それには赤い血のようなものが入っていて、それが全身に回ると細胞が変化した。それからは覚えていないけれど、その当時私が目を通して見ていた場面だけが記憶にどんどん蘇る。
『…………おい、A』
『………フゥー……ウ"ゥー……』
『………は、……なんで………A……?』
そうだ。
注射針を刺された後、鬼は「アンタを鬼にする」そう言っていた。きっと私は鬼にされたんだ。鬼にされた私は屋敷に来た不死川先生を見て、襲いかかったんだーーー。
『(ーーー殺して、)』
『…………A……ッ!』
涙を流し、私を見る彼の顔は絶望と悲しみ、両方が混ざっていた。振りかざした日輪刀で首を切られた私をずっと彼は抱きしめていた。
.
572人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時