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「ヒッ……!」
「痛ッ!」
思わず蹴ってしまう。
布団から飛び抜けて、少し距離を取る。
「…………なんで、不死川先生が?!」
「は?何言ってんだァ。夢でも見てんのか?」
「違う……!私の恋人って、……不死川せんせ……」
急に手を引っ張られ、引き寄せられた私は戸惑いながら先生を見上げる。怖い。状況が全く読めないし、先生に殺された前世の記憶があるのに…。
私の頭を撫でながら、頬を引っ張る先生は「何が先生だァ。いつも名前で呼んでくるだろうが」と優しく笑った。……よく知っている、先生が私を見る時と同じ目だ。
「………………っ、」
「………!」
戸惑いを隠し切れていない私をじっと見つめていた先生は何かに気付く。そして、密着していた体を離されては「…………お前、Aじゃねぇだろ」と言った。
「誰だ?血鬼術か何かかィ」
「………あ…えっと……その……」
私は未来からきた人間ですと正直に言ったところで信じて貰えるんだろうか。いいや、きっと信じてもらえない。私の見た夢の記憶と同じように、殺されてしまう。
どうすればいいのかさっぱりわからず、震えたままいると何かを察したのか先生は「……Aなのに変わりはねぇか」とボヤいた。
「悪ィ。一瞬血鬼術か何かかと思ったが、お前は正真正銘、風門Aだな」
「…………え……」
ーーー前世での私の名字。
「…………AであってAじゃねぇところか。記憶喪失とはまた違ぇ。……言ってみろ」
「…………私…は……大正時代の風門A……ではないです…………これからずっと先の……未来……の」
「つーことは、未来から来たってことか」
すぐに理解してくれた彼に「し、信じてくれるんですか?」と聞くと、不死川先生は大きなため息を吐いた。
そして、真っ直ぐに私をみると、「俺がお前を信じなかったことが今までにあるかァ?」とフッと笑って見せた。
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まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時