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何か肝心な夢を見ていた。記憶の夢だ。
なのに何も思い出せない。教室で見た夢に魘されて、起きると目の前には不死川先生がいた。思わず叫んで逃げてしまった。
腕の震えが止まらないまま、帰路につく。途中ある商店街で隼人が好きなドーナツを買って家に帰れば、もう震えは治まっていた。夜、隼人と二人で部屋でゲームをしていると窓がトントンと叩かれる。
「ここ2階だよ?姉ちゃん、幽霊じゃ?」
「そんなわけないでしょ」
カーテンを思いっきり開けると、そこには見覚えのある……鬼が立っていた。驚きのあまり声も出ない。立ち尽くしていると、隼人が「姉ちゃん……俺たちを襲った鬼……」と呟いた。
私の体はすぐに動いていた。
ベッドの下に隠している日輪刀に手を伸ばすわけでもなく、ただ大事な弟を守るように抱きしめて「何しにきた?!」と訴えた。
窓をすり抜けて姿を現した鬼は「久しぶりだね。君たち兄弟」とニタリと笑う。知っている。私と隼人はこの鬼を知っている。だけど私の記憶は曖昧にしか思い出せない。
「姉ちゃん、コイツ!コイツに俺、殺されて……!」
「………え?」
知らない。隼人がこの鬼に殺されたことなんて。そもそも、隼人はいつ死んでたの?私よりも先?後?
戸惑いを隠せないでいる私たちの前に鬼は立ち、見下ろした。…………見覚えのある鬼の目ではなく、優しくーーー
「………僕はね君に血鬼術をかけに来たんだ。…………そう、君に過去を教えてあげるよ」
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まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時