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Aに避けられ、2週間が過ぎる。
ある日、我妻を探して教室に行けば放課後の蜜柑色に染まった教室にある人影があった。机に伏せて寝ている生徒。
中に入り、ソイツに近づけば頭を寝返らせ、顔がよく見えるようになる。授業は決して俺を見ない。隣を通り過ぎようとすればひどく怯えたように震えている。
だが、寝ているAはただ純粋に安心しきった顔をしている。
だが、不意に顔を歪めては、目尻に涙を浮かべた。
黙ってそれを見つめる俺はその涙を拭ってやることもせず。
「…………………神様、……どうして……」
「………?」
「………せっかく掴みかけた……幸せを……」
寝言なのか?
ただただじっと聞いていく。
Aは「…………実弥、」と呟いた。自分の記憶を見ているのか?前に、記憶を夢で見て思い出すと言っていた。だとしたら、何を見ているんだ。
「………鬼になんか……なりたくない……、もっと……実弥と………」
「………!」
鬼になる直前の記憶。
そう直感した。俺が屋敷に帰る前にあったAと隼人の悲劇。どのような状況だったのか、Aが鬼化した後に帰った俺にはわからなかった。
「……………殺して……」
徐々に息が荒くなるAは寝ているのにも関わらず過呼吸に陥りかけていた。オイ!と体を揺さぶって起こすと、目を開いたAが俺を見て悲鳴を上げるとイスから倒れた。
「………こ、来ないで……ください……っ」
「………………」
「ご、ごめんなさい……っ」
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まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時