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「じゃあ二人とも頼むよ」
「「はい」」
前世でお館様、そして現在この学園の校長兼理事長の彼。私と不死川先生はお館様からの任務伝令に頷いて了承した。
「実弥は下がっていいよ。私は少しAと話がしたい」
「……御意」
チラリと私を見た先生にぺこりと頭を下げれば、先生が頭を撫でて出て行った。撫でられた頭に触れて、顔を俯かせる。ドキドキと鳴り続ける心臓に、この気持ちは一体なんなんだろうと本当は気付いているのに、知らないフリをした。
そんな私を見て悟ったのか、御館様が「A、」と声をかける。優しい声色に返事をして彼を見れば、優しく笑っていた。
「話ってなんだい?」
「…………私の前世、についてです」
「そんなことだろうと思ってたよ」
前世の記憶が一部曖昧なこと。
皆が揃って私には何も言わないこと。こんなことを言っても、きっと御館様も皆と同じように教えてはくれないだろう。
思ったことがある。
記憶が曖昧、つまり私に不死川先生との関係を表す記憶がないのは、前世で深く関わっていたからなんじゃないのかって。
「A、こればかりは君自身が思い出さないといけない。それに、みんな真実はよくわからないんだ」
「…………え?」
「君の死はその場にいた者たちにしかわからないんだよ」
その場にいた者たち。
意味深な言葉に謎は増えるばかり。
望んでいた言葉は結局貰えないまま、私は今夜不死川先生との任務に備えた。
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まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時