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「せ、先生……?」
「てめぇはよォ……」
後ずされば、先生が時々寝ているソファーに倒れて座ってしまう。先生はソファーに膝を着くと私を見下ろして、頬に手を伸ばす。
その手は頬を滑り落ち、唇の輪郭をそっと撫でる。そのまま手は私の顎に到着するとクイッと持ち上げた。
「…………俺のこと、好きになれよ」
「…………え?」
「もう我慢出来ねぇわァ」
少しずつ先生との距離が短くなる。
逃げようと思えば逃げられる。男の人の急所とも言える場所目掛けて足を振り上げれば。だけど、動けなかった。
言ってしまえば、私自身の奥底に眠る私がそれを望んでいたから。先生との距離がわずか数センチとなった時、勢いよく扉が開いた。
すぐに先生は私から離れると扉の前に立つ人を睨む。
「入る時ァノックしやがれェ!」
「うむ!すまない不死川!女子生徒に手を出そうとしているところ申し訳ないのだが、お館様……校長がお呼びだ!風間少女も同じくな!」
煉獄先生のクソでかボイスに、ハッとする。みるみる顔に集まっていく熱に、腕で顔を隠す。不死川先生を見上げればバッチリと目が合って思わず逸らしてしまった。
「すぐに行く」という先生に腕を掴まれて、「行くぞ」と立ち上がらされた。煉獄先生の前を通り過ぎる時、煉獄先生は不死川先生に真剣な顔つきで注意した。
「不死川、今は昔とは違う。君は教師だ。そしてここは学校だ」
「……………わかってんだよ」
「気持ちはわかるが、押さえろ!」
まゆを潜めて二人のひそひそ話を見つめる私に、煉獄先生ははにかんで「二人に任務だそうだ!」と言った。
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まやら - す、素晴らしい!泣きました。 (2020年7月13日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 泣きました。素晴らしい作品ありがとうございます! (2020年5月24日 0時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 初めまして、あられと申しますm(。>__<。)m思わず泣いてしまいました!それくらい切なくて早くヒロインちゃん思い出して〜(;_;)ってなりました。お仕事大変かと思いますが連載楽しみにしております!ご自愛くださいませ。 (2020年4月30日 2時) (レス) id: 467fdee8e1 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 1日40時間の残業大変ですね (2020年4月27日 14時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
smile0312(プロフ) - 新作ありがとうございます!応援しております (2020年4月20日 19時) (レス) id: 604129552a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年4月20日 15時