焦がれる.【不死川実弥】

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「貧血かァ？」

「あ、違います。ただプリント回収するの忘れてて慌ててたら扉にぶつかってしまい、」



このザマです、と自虐し笑えば先生は私にしか見えないぐらい小さく笑った。笑いことじゃありません、とドキドキしながら先生にプリントを渡す。


ん、と受け取った彼はパラパラとそれらをめくると「アイツ出してねぇなァ」と男子生徒の名前を出した。



「先生って笑うと素敵な顔、しますね」

「…………は？」



数学準備室で鼻血が止まるのを待つ間、先生にそんなことを言ってみると、さっきまでの表情から一変して顔を真っ赤にした。片手で顔を多い、机に肘をつく先生に変なこと言っちゃったかな、と不思議に思って椅子から立ち上がる。


先生の近くに言って、「先生？」と肩を叩こうと思えば腕を掴まれる。あまりにも真っ直ぐに見つめられ、先生の瞳に吸い込まれそう。



「お前、そういうことは軽々しく言うんじゃねぇ」

「……でも、本当に笑った顔……私……好きだなって……すごい優しい顔するし……って、…………あれ？」

「あ？」



『私、"____"の笑った顔が一番好き。すっごい優しい顔してくれるもん』



前にも誰かに言った気がする。でも、誰に…？

黙り込む私に、先生は大丈夫かと心配してくれる。すみませんと頭を下げて変なことを言ってしまったことを謝る。



「…………鼻血止まったんならさっさと教室戻れェ」

「…………そうなんです、けど」

「まだ何かあんのかァ」

「先生といると謎の安心感があって、まだ一緒にいたいなぁって……」



私何言ってんだ。生徒が先生に対して言っていい言葉じゃない。彼を困らせるだけの言葉なのに。一刻一刻とお昼休みの時間の終わりが近づいてくる中、先生が立ち上がり私を見下ろした。



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