焦がれる.【不死川実弥】

9 ページ11

*



先生なら私が作る隙を狙って、鬼を滅してくれるって。先生の罵声を浴びながら、顔を俯かせた。だって、顔が怖すぎて直視できないんだもん。足も痛いし、頬の切り傷も痛いのに。早くしのぶ先輩来ないかな。



「…………っ」

「てめぇ、聞いてんのかァ？！」

「………ご、ごめんなさ……っい」

「……？！！」



痛みに思わず泣いてしまう。

泣いている私に慌てだす不死川先生は「悪い、泣くな」と何度も私の頭を撫でる。泣いているのは先生のせいじゃないのに。


この状況で泣き出してしまった故に完全に勘違いが起こっている。けど、早く治療したい。痛いんだよすっっっごく。


マンションの屋上で泣き続けていると、しのぶ先輩が「あらあら」と言いながらやってきた。近くには伊之助もいる。



「おい、何泣いてんだA」

「………だって……っ」

「不死川さん、泣かせるだなんてひどいお方ですねぇ」

「………違ェ……、いや……泣かせたのは俺か……？」



ヒックヒックとしゃくり上げて泣いていると、テキパキとしのぶ先輩が手当てをしてくれる。痛み止めの薬を渡してくれる彼女に礼を言ってそれを飲む。



「安静にしててくださいね」

「………はい」



立ち上がり、不死川先生を見ると青ざめていた。そんなに女生徒を泣かせたのが心に来たのかな。いや、そういうキャラではなさそう。



「不死川さん、Aさんのこと家まで送ってあげてください」

「おう」
「えっ」


.

10→←8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す