おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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「………姉ちゃん」

「どうしたの？」



ある日の夜、別の部屋でいつも寝ている隼人が枕を片手に私の部屋にやってきた。一緒に寝たいという可愛い隼人に微笑んで布団に招き入れる。



「最近はさ、俺に気を使いすぎてるよね」



突如、隼人が言ってきたのはそんなことだった。気を使っている、そんなつもりは全然ない。けれど、彼はそう思う節があったのかもしれない。



「私はね、隼人が幸せになることが何より大切だよ。隼人が大きくなっていい女の人と結婚して幸せになってくれることが一番…」

「じゃあ姉ちゃんの幸せは？姉ちゃん、不死川さんのこと好きでしょ？」



隼人には気持ちが知られていたことに驚いて何も言えないでいると、彼はへへっと悪戯っぽく笑う。私にべったりと抱きついてきては「姉ちゃんが幸せだと俺も幸せだよ」と呟いた。



「俺は姉ちゃんに幸せになってほしい。だから、我慢しないで」

「……………」

「不死川さんホントにいい奴だよ。顔怖いけど……優し……し……」



どんどんウトウトとしてくる隼人は言い終える前にすっかりと夢の中に落ちていった。隼人にここまで見透かされていたなんて思わなかった。



隼人も認めるぐらい優しいのは私も知っている。

けれど、不死川さんにもう関わらないでほしいと言ってしまった私に、気持ちを伝える権利なんてあるわけない。



「……………好き、なのに……」


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