おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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気持ちは跳ねるように嬉しいのに、それには応えられない。真っ直ぐに私の瞳を見て気持ちを伝えてくれた不死川さんに、一方私は真っ直ぐに彼を見れない。



「…………律儀ですね」

「……………」

「初めて出会った時と印象が全く変わりました。……優しい人、」



以前、鬼殺隊の男性剣士に無理やり接吻をされそうになったことがある。驚いて突き飛ばしてしまった。その時、自分の思い通りにならなかったその人に私は殴られたことがあった。


それに、私に近づく人たちはみんな隼人を利用しようとしている。だけど、彼だけは違った。隼人を可愛がってくれてる姿は嘘偽りないもの。隼人が心を許しているのが一番の証拠だ。



「ーーーけど、ごめんなさい……っ」



私には応えられない。

すぐそばにいた不死川さんはそっと手を放すと立ち上がった。背中を向けられ、「殺」と書かれた羽織を眺めていると彼は「それが本心かィ？」と呟いた。

カッと顔に熱が集まるのは本音を見透かされたから？



「……私には隼人がいます。あの子が大人になって、幸せになってくれるまで私は……」

「…………。もしもてめぇが迷惑だっつーんなら、もう関わらねェ」



貴方はズルイ。どうしてそんなことを言って、悲しそうに顔を歪めるんですか。私がこれからいう言葉にもっと傷ついてしまうっていうのに。



「ーーー……迷惑、です」

「そうかィ。………お前とは関わらねェけどよ、隼人の遊び相手になるのぐらい許してくれェ。会いたいときは俺の屋敷に来いって伝えてくれ」

「……………っ」



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