おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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「えーっ、帰ったの？！」

「うん、また来るって」

「まじで？！やったー！」



午前中、少し遅めに起きてきた隼人は不死川さんがいないことに顔を歪めていたがまた来ると言うと嬉しそうに頬を緩めた。


隼人は珍しく人によく懐いている。
胡蝶様や蝶屋敷の子たちにすら懐くのも時間がかかったのに、あの人には心を許している。


今までに何人かの男の人に声をかけられることは多く、そして隼人に何かとちょっかいを出す人が多かった。けど、隼人の人見知りでいつしか男の人たちは声をかけなくなっていた。


胡蝶様はそのことを「Aさんを隼人くんが守っている」と言っていたがよくわからない。でもやっぱりそんな隼人が心を許している不死川さんはきっと特別。優しい人だから心を許し切っているんだろう。



「姉ちゃんさ、好きな男とかいないの？」

「いるよ」

「だれだれ？！」

「隼人だよーっ。こんなに可愛いんだもの私の弟はっ」



甘えてくる隼人を抱きしめて、「それは知ってる！」と恥ずかしがる隼人にどうしてそんなことを聞いてきたのか不思議に思う。


「不死川さんは？」と急に名前を出してきた隼人に、脳裏に浮かぶのは昨夜の出来事。思い出しては恥ずかしくなる。



「不死川さんは優しい人。けど、私にはあなたがいる。隼人が大人になるまで、私が支えるよ」

「姉ちゃんほんとそろそろ弟離れした方がいいよ？婚期逃したらどうするの」



私を気遣う隼人の想いに嬉しくなる。

けれど、あんなに素敵な人、私には勿体ない。それに、隼人がなんと言おうとね、私は隼人の幸せが優先なんだよ。



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