おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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ある日、蝶屋敷に包帯を貰いに行った。
胡蝶様は生憎任務で留守にしていたが、アオイちゃんがいて用意してくれた。



「なんだか騒がしいね」

「はい。先日、恋柱様と霞柱様、あと炭治郎さんが上弦の鬼との死闘から帰ってきたんです」

「炭治郎くんも？」



炭治郎くんはよく知っている。

前に一緒に任務に出かけたことがあった。鬼の妹を連れていたことは驚いたけれど、でも妹の禰豆子ちゃんは人間を襲わない可愛い子だった。彼女を人間に戻すために、一緒にいると炭治郎くんは言っていた。


あの時、任務先で作ってくれたご飯はすごく美味しかったなぁ。私も料理は隼人がいるからよくしているものの、炭治郎の腕前はすごかった。褒めてあげると、彼はどやさ顔で「料理は火加減」と言っていた。


それはそうと、よく怪我をすると聞いていたし、その時も怪我していた。上弦と遭遇するのは不運。それでも生きて帰ってきているのは彼の実力なのかもしれない。


お見舞いにでも行こうかな、と蝶屋敷の廊下を歩いていると、ある病室の前で誰かとぶつかった。謝って顔をあげると、それは不死川さんだった。彼は私を見ると、すぐに横を通り過ぎた。



「………？」



彼の背中はどこか寂しそうだった。

不死川さんがいた部屋を覗けば、そこにはある男の子がいる。近づいてみると、そこにはどこか不死川さんに似た男の子。処方箋の袋が目に入る。



「…………不死川玄弥……」



先日、不死川さんが言っていた。「弟なんざいねェ」の言葉の意味を今察した。彼が紛れもなく、不死川さんの弟だということ。

そしてきっと、彼は私と同じ気持ちを抱いている。



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