おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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任務の詳細を御館様から直々に話したいとのことで私はその日の午後、産屋敷邸に向かっていた。大きなお屋敷の前で、どうやって中に入るのだろうかと辺りをキョロキョロとする。



「オイ、邪魔だァ」

「………ヒッ？！」



後ろから急に声をかけられ、思わず小さな悲鳴をこぼす。後ろに立たれるのが昔から苦手だ。振り向けば、顔に幾つか傷のある男の人が立っていた。


思わず横にずれて「す、すみません」と謝れば、彼は門を叩いた。すると、中から出てきたのは御館様のご息女であるにちか様とひなぎ様。



「「お待ちしておりました、不死川様、風門様」」



二人が私ともう一人の彼の名を言ったところで、初めて彼が風柱の不死川さんだということを知った。胡蝶しのぶ様以外の柱に会うなんて初めてだったから、彼が柱だとは気づかなかった。


立ち呆けていれば、にちか様とひなぎ様が私の手を握って「行きましょう、風門様」と声をかけた。あ、と我に帰り、膝を曲げて背丈を合わせる。



「ーーーおはよう」

「「……！おはようございます」」



中に入っては、不死川さんの後ろをゆっくりと進む。そして、「あの、」と漸く声をかけた。睨むようにこっちを見た不死川さんは私が口を開く前に言葉を放つ。



「てめぇ、お館様の御息女に対して敬語使わねぇのかよォ」

「え？」



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