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「なんだかすみません、」
俺の背中で疲れ果て寝ているのは風門Aの弟である隼人だ。昼間に偶然会い、昼飯を共に食い、寂しそうにしている隼人の遊びに相手になってやった。
あたりが薄暗くなる中、背負って帰るから大丈夫だという風門に大丈夫だと伝え家まで送り届ける。立派な屋敷に住んでいるようだ。
屋敷の玄関から上がり込むと、玄関には二人分の履物しかなく、靴棚の上には両親だと思われる写真が飾られていた。
「…………親いねぇのか?」
「はい。数年前に、鬼に殺されました」
「そうか」
俺の腕の中から隼人を受けもらう風門は、弟を寝床に寝かせ優しくその額を撫で下ろしていた。まだ小さい弟の親代わりになっている姿はどこか寂しげだ。
「今日はありがとうございました。隼人も楽しそうに笑ってて、うれしかったです。不死川さんって見かけによらず優しいですね」
「優しくしてるつもりはねェがなァ」
「両親が死んでからは私ばかりに甘えていたので……、こんなに人に懐いているの久々に見ました」
風門は俺を見ると、「だから、優しい人です」とニッコリと微笑む。玄関先まで見送る風門は「お茶飲んでいきませんか?」と伺ってくるが、明日の任務に備えなければならないから帰ると渋々断る。
「ちゃんと体休めてくださいね」
「…………おう」
「後、この前みたいに自分を傷つけて鬼なんて倒さないでください。また怒りますからね、私」
背中を向けて歩き出す。
不意に後ろを振り返れば、まだ風門は門の前に立って俺を見送っていた。その顔には笑みが浮かんでいるのがここからでもわかった。
ーーー欲しい……。そう思ったのはきっとこれが初めてだ。
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呑子(プロフ) - 2話のひなき様がひなぎ様になってます (2020年6月11日 21時) (レス) id: b937ad49b1 (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - きゃああああ名前で呼んで欲しいってとこ可愛すぎぃぃいいいい (2020年5月29日 17時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花(プロフ) - ぐはっ!告白ぅぅぅ!!尊い!!!死ぬ!!!! (2020年5月25日 23時) (レス) id: c8a359bcaf (このIDを非表示/違反報告)
Ø(プロフ) - こんなに素敵な小説に出会えてよかったです!大変かもしれないですが無理せずがんばってください!応援させていただきます!! (2020年5月21日 0時) (レス) id: 712c3e0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハチハチ1129(プロフ) - 美桜さんの作品最高です!私も逮捕されたい、補導されたいと思いました(*^ω^*) (2020年5月19日 6時) (レス) id: 12ce184d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月16日 13時