陽だまりの中 ページ49
*
「昔、こうやって、縁側でのんびりしてましたよね」
「あァ、そうだなァ」
「ふふっ」
私の膝に頭を乗せる実弥さん。
現在、夏休みで実弥さんのお爺ちゃんの家に泊まりに来ている。昔ながらの家にどこか懐かしさを覚えつつ、実弥さんの兄妹が遊びに行っている間こうして二人で縁側で寛いでいた。
実弥さんのふわふわの髪を触って遊んでいると、彼は私のお腹周りに手を回して肺いっぱいに息を吸う。夏だからタンクトップ一枚で、お腹に感じる彼の息遣いに擽ったく、笑いをこぼした。
「でも、前世では私の方が膝枕してもらってましたよね。そしたらいきなり、実弥さんがキスをしてくるんです」
「…………こんなふうにだろ、」
そう言って体を起こした彼がキスをする。フッと笑う彼に一本取られた。うへへ……へへ……と照れていると、実弥さんのおばあちゃんがおはぎを持ってきた。
「早くひ孫の顔が見たいわね〜」
「もうおばあちゃんってば、まだ早いですよっ。おはぎありがとうございます」
「実弥がこんな幸せそうにしてるの初めて見るわ〜」
可愛くて笑う実弥さんのおばあちゃんにニコリと笑う。すると、私の膝で寛いでいた実弥さんが「コイツが卒業したら速攻作るからそれまで生きててくれよ」と宣言した。
この人サラリと今すごいこと言った。
おばあちゃんが下がった後、実弥さんに「安心して孫の顔が見れる世の中になって良かったですね」と呟いた。
「あの日、私を見つけてくれてありがとう」
「いつの話だァ」
「前世で家族が死んだ時、そして、今世で私が進むべき道を見誤っていた時です。全部、あなたのおかげで今の私がいるから」
起き上がりおはぎを食べている実弥さんに、「こういうのを運命の赤い糸っていうんですかね、へへ」と笑う。そうすれば、こっち見ろと言われ、彼を見た。本日2回目のキスはちょっぴり濃厚で、大人なキス。
「…………おはぎの味がします」
「甘いの好きだろ。もっとするかァ?」
「仕方ないですね。ほんと、私のこと好きすぎません?」
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カオリ - 素敵すぎました!!涙なしでは読めない、素敵な作品に出会えました。 (2023年4月29日 4時) (レス) @page50 id: 836efc3cce (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - この神作を書いて頂いてありがとうございました!!!本当に何周も読んで、何周もキュンキュンしたり感動したり、本当に今まで読んできた作品の中で一番です!夢主ちゃんと実弥さんの絡み大好き過ぎます…改めて、こんな素敵な素敵な作品、ありがとうございました!! (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - 本当に最高でした。何周したのか…師範大好きです。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 尊み(´ω`) ハッピーエンドで心温まりました。 (2022年12月5日 19時) (レス) @page50 id: afeec74a39 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - お゛っあ゛…神様…尊みでひとりの人間が供給過多で死にました神作品マジでありがとうございます幸せっす本当ありがとうございますっ!!! (2022年5月29日 16時) (レス) @page47 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年3月7日 13時