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*
「お兄ちゃん!」
「A!Aー!!!」
「オイ、抱きつなァ」
兄妹の熱い抱擁を交わそうとお互いに手を広げて走れば、実弥さんに阻止される。私の首根っこを捕まえる彼に「いいじゃないですか。お兄ちゃんなんだから」と言うけれど、今世で血が繋がらないためか、お兄ちゃんとの抱擁は彼にとって嫌、らしい。
嫉妬ですか?と聞くと、叩かれる。お兄ちゃんは今彼女がいるからなんの心配もいらないと思うけど。
「そうか、Aは今不死川さんと」
「うん。お兄ちゃんに報告するの遅くなってたから。これからはいつでも会える」
「前みたいに可愛く笑えるようになったな」
頭の上に温かい掌が乗り、優しく撫でられる。やっぱり私は撫でられるのが好きだ。「実弥さんのお陰」と笑って見せる。
安心したように微笑むお兄ちゃんは「悪いけど、俺引っ越すことになったんだ」といった。え?と固まる私を他所に、実弥さんが「何かあったのか?」と聞く。
「あ、いや、ただ大学卒業して、北海道の方で働くことになってな。でも、親父さんの縛りも無くなったんだ。いつでも連絡してこいよ」
「…………うん、ありがとう」
「血が繋がらなくともお前は俺の自慢の可愛い妹だ」
えへへ、と笑っていると「優太ー!」と懐かしい声が聞こえた。「あ、母さん」とお兄ちゃんの声に振り返る。そこには前世、私のお母さんだった人が立っていた。私を目にした彼女は「………あら、」と驚く。
「…………貴方、どこかで会ったことあるかしら?」
「…………っ」
「ってごめんなさい。いきなり。なんだかとても懐かしく思えちゃって…」
「……いえ、初めましてです。お兄、優太さんと仲良くさせてもらってます。風見Aです」
お兄ちゃんと話をしているお母さんを見て、「私たちもう行くね」と実弥さんの手を握って「バイバイ」と手を振った。
.
「………母さん?」
「優太、どうしてかしら。あの子を見たら、涙が止まらなくって……っ。なんなのかしらっ」
「俺も時々泣きたくなるよ……」
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*明日完結させます*
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カオリ - 素敵すぎました!!涙なしでは読めない、素敵な作品に出会えました。 (2023年4月29日 4時) (レス) @page50 id: 836efc3cce (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - この神作を書いて頂いてありがとうございました!!!本当に何周も読んで、何周もキュンキュンしたり感動したり、本当に今まで読んできた作品の中で一番です!夢主ちゃんと実弥さんの絡み大好き過ぎます…改めて、こんな素敵な素敵な作品、ありがとうございました!! (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - 本当に最高でした。何周したのか…師範大好きです。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 尊み(´ω`) ハッピーエンドで心温まりました。 (2022年12月5日 19時) (レス) @page50 id: afeec74a39 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - お゛っあ゛…神様…尊みでひとりの人間が供給過多で死にました神作品マジでありがとうございます幸せっす本当ありがとうございますっ!!! (2022年5月29日 16時) (レス) @page47 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年3月7日 13時