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「Aが家を出ると言って、思いついたのが男だった。アイツも母親と同じように男を作って出て行くのかってな。………でも、アンタの名前を聞いて気づいたんだ」
親父さんは言う。
親父さんのお袋、いわばAの祖母に当たる人だ。Aが13のときに亡くなったらしいが、Aが前世を思い出した当時、よく話していたらしい。それを祖母伝で聞いていた親父さんは俺の名前だけは知っていたそうだ。
「12の時だったか。アイツが前世ってあると思う?って聞いてきた。そんなもん俺は信じなかったが、話を聞いていると歴史書に載っていることと合致していた」
「………」
「一度ひどく混乱したのか泣き崩れたAが"師範………実弥さんはどこ……"って何度も言っていた」
今世とは違う前世。
鬼が存在していた昔のことを思い出せば、12歳のガキからしたら恐怖で混乱するのは当たり前か。だが、前世の記憶が蘇る中、俺のことを考えていたことに嬉しくて思えてしまう。
親父さんは「Aが言っていた"前世"とやらは本当なのかもしれないな」と零し、立ち上がるとタンスから何かを持ち出し、俺の前に置いた。
「俺のせいでAは笑わなくなった。……だが、アンタといることでAが笑うんだったら、」
「………」
「……娘を…………よろしくお願いします」
目の前に出されたA名義の口座と親父さんに「俺は"今世"でもAに出会えたことを感謝している。安心してください。Aは俺が一生かけて守ります」と伝える。
親父さんは涙を堪えながら、「Aに今まで済まなかったと伝えてくれ」と最後に伝言を残した。
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カオリ - 素敵すぎました!!涙なしでは読めない、素敵な作品に出会えました。 (2023年4月29日 4時) (レス) @page50 id: 836efc3cce (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - この神作を書いて頂いてありがとうございました!!!本当に何周も読んで、何周もキュンキュンしたり感動したり、本当に今まで読んできた作品の中で一番です!夢主ちゃんと実弥さんの絡み大好き過ぎます…改めて、こんな素敵な素敵な作品、ありがとうございました!! (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - 本当に最高でした。何周したのか…師範大好きです。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 尊み(´ω`) ハッピーエンドで心温まりました。 (2022年12月5日 19時) (レス) @page50 id: afeec74a39 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - お゛っあ゛…神様…尊みでひとりの人間が供給過多で死にました神作品マジでありがとうございます幸せっす本当ありがとうございますっ!!! (2022年5月29日 16時) (レス) @page47 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年3月7日 13時