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「………っ痛い……っ」
思わず涙が滲み出る私に、炭治郎くんが寄ってきて、肩を掴むと「すみません」と言って袖をまくった。
ーーーどうしよう。
前世だったら、怪我なんて普通にしていた私たちだけど、今世で包帯巻くなんて重症だってわかる。炭治郎くんと玄弥さんの顔を見て、自分でも青ざめるのがわかった。
「玄弥ァ、まだかァ?」
チャリンチャリンと鳴った鈴の音に振り返ればそこには実弥さんが立っていて。彼の目に映る私の腕に、私は炭治郎くんを振り払って走った。だけど、逃げ道が一つしかないこの店内で彼に捕まるのは目に見えていた。
彼の腕に捕まってしまった私は、膝を落として床に座り込む。実弥さんは「誰にやられたんだァ!!」と大きな声を出す。一番知られたくない人に知られた時、どうすればいい?
ただならぬ雰囲気の中、炭治郎くんがそばに来て、ここじゃあれなのでうちに上がってくださいと気を利かせる。我を失っている私の肩を抱き寄せ、立ち上がらた。
案内された部屋は炭治郎くんの部屋らしく、救急箱を持った玄弥さんがやってきた。それを受け取る実弥さんが「先帰ってろ」というと、私に会釈をして帰っていく。
二人きりになった部屋の中で爛れた火傷の手当てをしてくれる彼ばずっと無言で私はただただ知られたくなかったことを知られ、我を失っていた。
腕の手当てをし終えた彼の手が私の肩に乗り、薄手のパーカーをゆっくりと脱がせる。肩にある大きな痣、そして所々に見える瘡蓋のできた傷に、彼はひどく顔を歪めた。
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*ちょっとしま○力表現あります。気分を害してしまいましたら申し訳ありせん。
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さく - 大好きです!!中学のとき出会ってから辛い時や気持ちが落ち込んだときに読み返しては泣いてしまいます…!本当に素敵な作品をありがとうございます!!また元気でました! (1時間前) (レス) id: 62bb256cd4 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ - 素敵すぎました!!涙なしでは読めない、素敵な作品に出会えました。 (2023年4月29日 4時) (レス) @page50 id: 836efc3cce (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - この神作を書いて頂いてありがとうございました!!!本当に何周も読んで、何周もキュンキュンしたり感動したり、本当に今まで読んできた作品の中で一番です!夢主ちゃんと実弥さんの絡み大好き過ぎます…改めて、こんな素敵な素敵な作品、ありがとうございました!! (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - 本当に最高でした。何周したのか…師範大好きです。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 尊み(´ω`) ハッピーエンドで心温まりました。 (2022年12月5日 19時) (レス) @page50 id: afeec74a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年3月7日 13時