俺の最愛が変わっちまった件について【不死川実弥】

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「んっ？！」



キスをされた。

目を開ければ、悲しそうにそして愛しそうな目をする実弥さんがいて。優しいキスに私は戸惑うばかり。気づくと、彼の服を握って"もっと"とキスを強請っていた。




「ーーーA？」



不意に聞いたことのある声に、唇を離して振り向けばそこにはお兄ちゃんがいた。あれ、ここお兄ちゃん家の近くだったけ。というか、今私はこの人とのキスを、お兄ちゃんにバッチリと目撃されてしまった、らしい。


カァッと顔を赤くする私を見て、実弥さんは満足そうに口角をあげる。「自分が言ったこと思い出したかィ」と耳に口を寄せられ、体温がさらに上がる。耳元でその声はやめてくれませんか。孕んでしまう。



「貴方は……、あぁ！そうだ。思い出した！」

「あ？てめぇは……、Aの兄貴じゃねぇか。シスコンの」

「はっはっは！やっぱりそうだ！前世ではAが世話になったな！」



私を差し置いて楽しそうに会話を始めた二人。そして、お兄ちゃんの頬が綺麗になっていることに気付いた私は彼に抱きついて頬を包み込んだ。



「お兄ちゃん、頬っぺた治ってる？！」

「あぁ、もう何年前の話してんだよ。俺は大丈夫だ」

「良かった、よかった……っ」



あのとき父に強く殴られたお兄ちゃんは倒れた衝撃で頬を切っていた。それからは全然会えてなかったから治っているか心配だったけど、綺麗に傷も残っていないお兄ちゃんの顔を見て安心する。


抱きついていれば、実弥さんに引っ張られ、引き剥がされる。「何するんですか！」と言えば、「男にひっつくな」と言われる。いや、男も何も貴方も知っているでしょ、前世の兄ですよ。



「まあまあ、不死川さんがAのこと愛してやまないのはわかってますけど、俺だってAのこと可愛くて仕方ないんですよ。今は血が繋がってなくても、俺の妹です。兄妹の抱擁ぐらい大目に見てくれ」

「ドヤ顔で語るんじゃねぇ」



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