死んだお前を喰べよう【猗窩座】

＊ ページ23

*



「狛治さん、さっきの方は？」

「昔の知人です」

「……私と声がそっくりでしたね」



恋雪さんが後ろを振り返る


あの女と今世でまた会うなんて
思ってもいなかった


今世に生まれた俺は
再び恋雪さんと出会うことができた
恋雪さんは前世と違って元気だった




彼女と出会った時
俺は決めた


今世では絶対に守りきると



「狛治さん」

「どうかしましたか、恋雪さん」

「……好き、です」

「……！」



不安に感じてしまったのか
突然すぎる告白に
周囲を見渡す


……ふぅ、と息を吐いて
恋雪さんと繋ぐ手をぎゅっと
握り返す



「俺も、です」

「……っ」

「え、ななな泣いてるんですか？！」



ポロポロと涙を流した恋雪さんを
抱きしめる


恋雪さんには前世の記憶がない
だけどあいまいな記憶だけが
残っているようだった



「さあ、恋雪さん帰りましょう。
お父様がお待ちですよ」

「はいっ」



俺はあの女と
会うことはもう二度とないだろう


あの女、Aはもう
死に損ないでもなんでもないのだから




*




それに俺はもう鬼ではないから
死んだお前を喰うことはできない




*

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