俺の継子が阿呆な件について【不死川実弥】

204 ページ10

*



「…………これ、くれ」

「ありがとうございます。贈り物ですか？」

「…………あァ」



*



なんでクリスマスとかいう西洋の行事に俺が付き合わねぇといけねぇんだよ。なんでアイツのために、こんなに買ってんだ俺はよォ。



「ありがとうございましたー！！またのお越しをお待ちしております」



もう来ねぇよ。

Aのために、二つも買ってやったなんて他の柱共に知られたらきっと腹を抱えて俺を笑うだろう。絶対ェに話すなとAに注意しねぇと。


だがまあ、アイツが欲しそうなもんを買って贈るんだから喜ぶだろう。それを想像し、フッと鼻で笑う。



「…………まあ悪くねぇかァ」



数時間かけて汽車で屋敷に帰る。
今日はAの奴は非番だ。俺が用意した鍛錬をきっと今日もサボっているに違いねぇ。


屋敷につき、いつものように縁側にいけば日向ぼっこをしているAを見つけた。寝てやがる。コイツはどこでも寝る女だ。お天道で乾いた柔らかいタオルに包まっているAの頭元に買ってきたもんを置いて、着替えに行く。


数十分後、居間でおはぎを食べていると廊下が騒がしくなった。居間に飛び込んできたAは「師範！これ！なんですか！」と頬を染めている。



「今日は西洋のくりなんちゃらなんだろォ。ソイツが持ってきたんだろ」

「…………！えへへ、ありがとうございます」

「俺に礼を言うなァ」



中身を開けて確認しているAを横目で見つつ、茶を飲む。「わぁ、口紅だぁ」と珍しいもんを見るように指につけ自分の口につけたソイツは「どうですか？」とふにゃりと笑った。



「…………似合ってる」

「あはは！師範が可愛いって言ってくれた！」

「可愛いとは言ってねぇ！！」

「(サンタさんは夜に来るんですよ、師範)」



*







*



ーーー後日談

宇髄さんに聞かれ、帯(だけ)をやったことを話すと宇髄さんは爆笑して、不死川さんに言った。


「お前、派手にプロポーズしてんぞ！帯を女にやるのはお前のことを長く愛するって意味なんだぜ！」


その時、顔を真っ赤にして不死川さんは叫んだそうだ。



*

205→←203

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す