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「あら、Aさんいらしてたんですか?驚きました。声かけてくださいよ」

「……………」



いつものように作られた笑みの裏側に何を抱えているのか私には計り知れない。だけど、薬ではないものを口にしている胡蝶様を見て見ぬ振りするほど私は彼女とは他人ではない。私の中で、彼女も大事な仲間なんだ。


今の私は戸惑いを隠せていない表情をしていることだろう。そんな私などお構いなしに「あら、Aさんお怪我してるんですか?」とそばにやってきた。



「胡蝶様、今さっき……何を飲んでたんですか?」

「……………お薬ですよぉ」

「薬?紫の粉が、ですか?」

「お薬以外に、………何があると思うんですか?」



鬼殺隊の剣士になった者の多くが、家族や愛する者を鬼に殺されたものばかり。私だってその一人だ。大切な家族を鬼に殺された。そして柱にだってそういう人はいる。胡蝶様の一人前の柱、花柱胡蝶カナエ………胡蝶様のお姉さん。


前に誰かから聞いたことがある。胡蝶様は家族を鬼に殺され、唯一生き残ったお姉さんでさえも鬼に殺されたと。


鬼に恨みを持つには十分すぎる出来事だ。
それに胡蝶様は毒で鬼を倒す。薬学に詳しい胡蝶様ならきっと……。



「ーーー鬼が苦手とする藤の花、」

「…………」

「藤の花を摂取しているんですか?」



藤の花は人間の私たちには特に害はない。だけど、藤の花を摂取し続け、体内の藤の花の蓄積度を高める。人間を好み喰う鬼がその人を喰らえば、体内から鬼は藤の花の毒に蝕まれていく。



「Aさんはどうしてこういう時だけ勘がよろしいんでしょうか………」

「……………やっぱり、自分の命をかけて………?」



動揺に思わず手が震えている私に、胡蝶様は一度目を閉じて、スッと開いた。そして彼女は「えぇ、そつですよ」と言った。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 風柱   
作品ジャンル:アニメ
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ラズベリー - 面白いです! (2021年2月4日 6時) (レス) id: 87d010c47c (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 最後が、「ええ、そつですよ」になってる、、、? (2020年7月25日 12時) (レス) id: 1d4ed2cded (このIDを非表示/違反報告)
0tt430v325326h(プロフ) - いつも見させて貰っています。質問ですが、過去はどうやって書いているんですか?私も作品を書き始めていますが全く分からない事だらけで… 普通の文字より少し薄いですよね?読んでてとっても分かりやすいんで、私も書きたいと思っていまして、どうか教えて下さい! (2020年5月22日 18時) (レス) id: a0727f11af (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - 何回も書きますがめちゃくちゃおもしろいです(*´ω`*)美桜さんの文章力羨ましいです!更新楽しみにしてます(>人<;) (2020年1月11日 18時) (レス) id: d985354645 (このIDを非表示/違反報告)
お肉 - リクエスト叶えてくれてありがとうございます!!これからも頑張ってください! (2020年1月11日 17時) (レス) id: 74901ad7b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2019年12月25日 18時

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