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すっかりとあたりは真っ暗になっていた。
暗いのがあまり得意でない末吉くんに、「手ぇ繋いであげようか」とニコリと笑う。彼ははあ?!!と怒るとそのまま私の手を握ってきた。彼は本当に弟みたいだ。
「今日はありがとう。お買い物に付き合ってくれて」
「べ、別に大したことねぇよ。暇だったし」
ポリポリと頬を掻く彼に、早く家に帰らなきゃね〜と言いながら山道を歩く。神社の前を二人で通った時、何かを感じた。神社の中からだ。
行ってみようよ、と言うと彼は首を横に全力で振るう。怖がりな男はモテないぞと言うと、何やらやる気満々に歩き出した。
小さな神社。
だけど、微かに何かの音がした。ちょっと待ってて、と言って一人でその音の方へと向かう。神社の裏手の方?回り込んで音の正体を見つける。
「え?」
思わず尻餅をついてしまう。
なにこれ……。人が人を喰べている?いや、違う。これは……。昔おばあちゃんが話していた鬼ってやつ?動揺と恐怖に、動けなかった。
鬼の爪が頬を掠める。痛い。少しかすっただけなのに、切れた頬から血が流れてくる。
「……お前美味そうな匂いだァ。……珍しき血……稀血だなァ……」
「……な、……なに……」
何を言っているのか全然わからないし、死んでいる人の血の匂いが妙に臭く感じる。あぁ、私今日死ぬんだ。将来の夢は、安らかに死ぬことだった。だけど夢とは真逆に痛い思いをして死ぬのか。
「風の呼吸ーーー」
鬼に押し倒され、恐怖に抵抗すら出来なかった。
涙が滲み、頬を濡らす。
ーーーだけど、痛みなんて少しも感じなかった。気づいた時には鬼の首がなくなっていたんだから。
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ラズベリー - 面白いです! (2021年2月4日 6時) (レス) id: 87d010c47c (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 最後が、「ええ、そつですよ」になってる、、、? (2020年7月25日 12時) (レス) id: 1d4ed2cded (このIDを非表示/違反報告)
0tt430v325326h(プロフ) - いつも見させて貰っています。質問ですが、過去はどうやって書いているんですか?私も作品を書き始めていますが全く分からない事だらけで… 普通の文字より少し薄いですよね?読んでてとっても分かりやすいんで、私も書きたいと思っていまして、どうか教えて下さい! (2020年5月22日 18時) (レス) id: a0727f11af (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - 何回も書きますがめちゃくちゃおもしろいです(*´ω`*)美桜さんの文章力羨ましいです!更新楽しみにしてます(>人<;) (2020年1月11日 18時) (レス) id: d985354645 (このIDを非表示/違反報告)
お肉 - リクエスト叶えてくれてありがとうございます!!これからも頑張ってください! (2020年1月11日 17時) (レス) id: 74901ad7b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2019年12月25日 18時