俺の継子が喧しい件について【不死川実弥】

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「風の呼吸、捌ノ型 初烈風斬り」



師範が使う呼吸、風の呼吸。それには捌の型があり、それら全てを習得した。どうやら本人は、私がここまで習得できると思っていなかったらしい。



「…………最終選別っつーもんに合格したら、剣士になれる」

「最終選別、ですか？」

「おう。だが、そこでは死ぬかもしれねェ」



最終選別がある鬼がたくさんいる山は、人を喰らうことに飢えており凶暴化している鬼が多いらしい。久々に聞いた"鬼"の話に、あの日を思い出す。



「…………俺はなァ、てめぇなら生きて帰ってくるって思ってる」

「え？」



鬼というワードに、柄にもなく不安になっていると、彼は私の背丈に合わせかがみ、目線を合わせた。まるで妹や弟たちに言い聞かせるような姿勢に、お兄ちゃんを重ねる。



「…………俺はてめぇを信じてる。だから、俺を裏切るような真似すんじゃねぇぞォ。てめぇは強ェ、なんせこの俺がてめぇを育てたんだからなァ」



師範は私にお守りをくれた。

お守りなんて神頼みみたいなこと師範らしくないですね、と笑う私に彼は昔自分を拾ってくれたという剣士の日輪刀を貸してくれた。



そして、最終選別に向かう日、彼は私を力一杯抱きしめた。思わず照れてしまって、「師範は私のことが本当に好きなんですねぇ」と言う。



「………………」

「あれ、否定しないんですか？」

「うるせぇ」

「ふふ、……………フフフフフフ、」




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これが師範を舐め腐るきっかけとなったことを彼は知らない。




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