俺の継子が喧しい件について【不死川実弥】

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「Aちゃんはどうして鬼狩りになろうと思ったの？」

「私？」



最終選別3日目。

鬼と出くわすことは幾度かあったけれど、なんとかまだ生きている。初めて鬼に向かって刀を振るった時、首はあんなにも簡単に斬り落とせるのかと思ってしまった。



「私ね、兄妹たくさんいたの。お兄ちゃんや弟、妹たち。貧しかったけど、幸せだった」

「………」

「でも、その幸せって案外脆くて、呆気なく奪われた。だから私は、私と同じようにたくさんの人が悲しまないように幸せを守りたいの」



最終選別の間、食事とかも自身で取らなければならない。夜は自分の身の安全を守りつつ先に進み、陽が出ている日中に休息をとる。



「………同じだね」

「……………」

「絶対この選別で生きて帰ろうね！」

「うん」



それでも人喰いに飢えた鬼は、久々の人肉に涎を流し我をなくして襲いかかってくる。攻撃を避けて首を落としても、また新しい鬼が姿を現わす。その連続だ。


こんな日が後4日続くと思うと全身鉛のように重たくなる。はぁ、今頃師範は何をしているんだろうか。あぁ、きっと今頃美味しいおはぎを一人でもさもさと食べているに違いない。



「生きて帰らなきゃ、ね」

「そうだよね」

「生きて帰って、師範によくやったなって褒めてもらわないといけない。あわよくば師範に新しい着物を買ってもらわなきゃ」


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