71 ページ28
*
なんだか今日は調子が悪いのか、あんまり元気がない彼女。
カフェに入って、お楽しみのケーキを食べているとAが「お手洗い行ってくるね」と席を立った。ケーキを食べながら彼女の帰りを待っていれば、小さな餓鬼が椅子に足をかけて躓いた。
椅子にかけてあったAのバッグも床に落ちる。母親が「すみません」と何度も謝ってくる中「大丈夫ですよ」と外面スマイルを浮かべた。
「………なんだこれ」
鞄の中から出た荷物をしまっていると白い封筒に入った何かに気がついた。いつもならば小さな鞄を持ってデートに出かけるのに、珍しく大きなバッグなのはこれが理由だったらしい。
キョロキョロと周りを見渡して、Aが帰ってこないのを確認した。ま、良いよね彼氏だし。なんてデリカシーのカケラもない僕は、その白い封筒を破って中を覗いた。
なぜか僕の名前が書かれてあり、そして見知らぬ女の名前と写真が中にはあった。それが何を示しているのかは容易くわかる。18を超えた。もう残すところ高専も一年だし、ちょうどいい頃合い。
封筒に戻して、テーブルの上に置くと残っているケーキを一口で食べ終えた。さっきまで甘くて美味しかったはずのケーキは、何の味もしなかった。
しばらくして戻ってきたAが、机の上にあるそれをみて、サーッと顔を青くした。「座りなよ」と促せば、恐る恐る座った。
「言いたいことあるなら先にどーぞ」
「……………」
「何も言わねぇとわかんねぇんだけど?」
別に怖がらせるつもりはないし、正直に話してくれた方がいくらか今の怒りは収まる。Aはビクビクしながら「えっと、その」と口を濁らせていた。
「ーーーでよっか」
雰囲気悪くなるし、こんな状況のせいで周りの視線が痛かった。Aが頼んでいたほうじ茶ラテが揺れて、僕たちはカフェを出た。
二人きりになれる場所なんてこの辺にはあんまりない。さっき公園行ったし、この時間に長話をするのに公園は寒いから。行くとなったらコウイウホテルしかないわけで。
ま、12月にAを連れ込んで以来抵抗もクソも無くなったから余裕で今では入れるようになっていた。
.
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時