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「ーーーえ?」
目の前に出されたのは綺麗な女性の写真。
こんな今時でもあるんだ、と思えるほど綺麗な写真入れに入ったそれを私は悟くんのお父様に預けられた。
「君には悟を説得してほしい。悟ももう18を過ぎた。高専を卒業したら、結婚させなければならん」
「…………」
高校に入ってからというとのの、私は五条家の悟くんの使用人としては、特に何の役にも立っていなかった。こうして彼の父親の命により、呼び出されたのはこれが高校生になって初めてである。
悟くんのお父様は、私が悟くんと現在交際しているという事実を知らない。それに、悟くんからは「絶対に言うな」と五条家の人間、そして母にでさえ付き合っていることを公表してはならないと言っていた。
「………えっと、……その、」
「悟は君になら弱いからね、君から頼めば了承すると思って」
「悟様が私に"弱い"ですか?」
私と悟くんの様子を見て、どこにそんな要素があるんですかと言いたくなった。しかしお口にチャックだ。お見合い相手いや、許嫁同様の女性の詳細を詳しく話し出す彼の父親に、私は頭が真っ白になった。
やっと悟くんに好きだと言って、悟くんがそばにいていいと許してくれた。明後日だって、悟くんとお出かけする約束だってあるのに。
「悟様がもしも"別の普通の女性"を好んでおられたら、如何なさいますか?」
声が震えた。
答えを聞くのが怖くて、だけど聞かなければどうしようもなかった。
私のそんな質問など、所詮は笑い事のようだった。
高笑いに釣られて、私の顔は引きずった。それだけでもう答えが出ているようなもので。必死に、笑顔を取り繕う。
「アイツが一番一般人を嫌っておる。それに、一般人と悟が釣り合うわけなかろう。Aも高校に入って冗談を言えるようになったんだな」
「………………はい、」
真っ青な顔を下に俯けた。
「早いうちに悟を説得してくれ」と言われた私は、五条家の門を出てすぐに蹲った。
「悟くんが他の人のものになっちゃう」
高校三年の3月。
進路先も決まった私にまた訪れた最大の問題だった。
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時