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「悟くんベッド使って」
「は?お前が使えよ」
「だって私は泊まる予定の人間じゃなかったんだし」
「彼女を簡易ベッドに寝かせる男がいるかよ」
「彼女」の言葉に身をたじろぐ。
悟くんはニヤニヤとしながら「じゃ命令な」と口癖を口にした。それにムッとして、「私もう使用人じゃない」といえば、「悪」と素直に謝った。
そんな私と悟くんのやりとりを見ていた夏油くんが「私が簡易ベッドに寝るから、二人ベッド使いな」と口を開いた。その言葉に悟くんは「マジ?さっすが傑ちゃんは気が効くわ」とケラケラと笑っていた。
「悟くん」
「なに?」
「せっかくできたお友達をそんな扱いしたらダメだよ」
「は?」
私の発言に夏油くんは笑いを堪えていた。
しかし本当に構わないよと言っては私と悟くんにベッドを譲ってくれた。お風呂に入り、部屋着に着替える。夏油くんがお風呂に入っている間、悟くんと二人でベランダから外を眺めた。
さすがは最上階。寒い。
「A、一つ言っておく」
「どうしたの?」
「俺の家の奴らには絶対ぇに言うな。これはお前の恋人としての命令だ。五条家には"使用人"で通してろ」
悟くんには何か考えがあるのだと思った。それはなんなのかわからないけれど、私はわかったと頷いた。
夜、悟くんが寝付いた時間。
ムクリと体を起こした。
簡易ベッドに横になる夏油くんを揺さぶって起こすと、シーッと唇に指を当てた。「(ベッド使って)」と手振りと口パクで伝える。彼は「(Aちゃんはどこで?)」と返してきたためにこりと笑った。
納得してくれた彼に頭を下げてお礼を伝える。
「(……結構積極的だね)」
悟くんの布団の中に潜り込む。
二人で寝るにはちょっと狭いけれど、大丈夫。寝返りを打った悟くんに、抱き枕のように抱きしめられた。暖かい。そう思いながら目を閉じた。
次の日、めちゃくちゃ悟くんは不機嫌だった。
「お前、健全な男子高校生のベッドの中に入ってくんじゃねぇよ。大体な、俺じゃなかったらお前絶対ぇ襲われてるからな。いや、俺でも襲ってるわ」
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時