56 ページ8
*
『A、兄ちゃんが絶対に守ってやるからな!』
『うんっ』
『…………ごめんな、A』
『………お兄ちゃん、起きて……お兄ちゃん……』
脳裏に浮かんだ兄の姿。
私もお兄ちゃん大好きだった。きっと彼らに負けないぐらいの絆で、俗に言うブラザーコンプレックスだ。
「Aさん?」
そんな兄が私を何があっても守ると言ってくれた時、そして鬼に襲われ親も他の兄妹も殺され私を守るように抱きしめていた時を思い出した。何も悪くないのに、最期に謝ったお兄ちゃんの顔が今でも鮮明に思い出せる。
どんどん動かなくなっていく兄。そして、まだ生きていた私を喰らおうとしていた鬼。
力なく体が倒れた兄に、呆然とし迫り来る死を覚悟した時、助けてくれたのが師範だった。
「おい、お前大丈夫か?」
ーーー『おい、餓鬼ィ大丈夫かァ?』
「………!」
いつのまにか下を俯いていた私は顔を上げた。
やだなに、玄弥さんに抱きしめられている師範がこっちを見ていた。可愛いなオイ。
「ボーッとしてたけど大丈夫ですか」と玄弥さんに心配され、「あー、ちょっと昔思い出しちゃっただけ」とヘラリと笑った。
「それで兄ちゃ……兄貴はいつ戻るんですか?」
「一週間ぐらいらしいです。まあ早ければ2〜3日で戻るんじゃない?」
「なんか気楽に考えてないですか…?」
「だって頭抱えたって仕方ないじゃん。それに、今回の件で師範の弱み一つ握れた気がします……フフフ」
.
2301人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しになりたいフリー好き(プロフ) - 美桜さん» あ、出来ればぎゆさん相手のさねみさんの対応とか…… (2019年11月22日 23時) (レス) id: 58278cc77e (このIDを非表示/違反報告)
名無しになりたいフリー好き(プロフ) - 美桜さん» いつも楽しく読ませていただいております!ななふと申します!いきなりすみません!助けてください!さねみんのキャラが掴めません!書き方のコツとか教えていただけませんか…? (2019年11月22日 23時) (レス) id: 58278cc77e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 霞さん» コメントありがとうございます!素敵と言ってもらえて嬉しいです。こちらこそ体調管理気をつけてください!! (2019年11月21日 21時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神威さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです。あまり他作者さんの不死川さん小説読まないので自給自足してます笑更新は平日3話、休日3〜5話目安を目標にやってるんで!ニヤニヤしてもらえて嬉しいです〜! (2019年11月21日 21時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 初コメ失礼します。素敵なお話ですね!すっかり気に入ってしまいました…!これからも楽しみにしてます!寒くなってきたのでお体に気をつけて頑張って下さい! (2019年11月20日 23時) (レス) id: da4e88d22b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2019年11月9日 8時