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「あ〜!!疲れた〜!!」
師範が縄のようなものを使って先に地上に上げてくれた。雑すぎて、頭を何度も穴の角でぶつけた。頭から血が流れている。痛い。
膝をついていた私はその場に立ち上がり「師範!」と彼に抱きついた。あ〜、師範、ちょびっとの間でしたが寂しかったですよ私〜。
「おい、てめぇ、その服なんでそうなっちまってんだ」
「あ、」
邪魔だったドレスの裾を切り落とし、鬼と戦闘の最中さらにボロボロになったドレス。隊服と違って普通の布切れは脆いから、すごい有様になっている。
丈短……!と目ん玉飛び出していると、師範は着ていたシャツを脱いで私の腰にそれを巻きつけ、そしてその辺に投げ捨てていたらしい上着をかけてくれた。なんだなんだなんだ。
「うわあ、師範が優しい。惚れる〜」
「殺すぞ」
「でも、ここで半裸はアウトなのでは?」
師範とそんなこんなで言い合っていると、隠の人たちが到着し、後処理をし始めた。私はまだ下にいる人たちの救助を手伝う。
……震えている。殺されるかもと恐怖した女の人たちにはトラウマになってしまったことだろう。大丈夫、そう言った言葉しかかけれないのが不甲斐ない。
またいつ東京のどこかに鬼が現れるかもしれない。鬼がもう二度と出ないなんて保証できない。
「…………助けてくれて、ありがとう」
「……!いえ、ご無事で良かったです」
ニコッと笑うと彼女は泣きながら頷いた。
彼女の婚約者だという男性が慌ててやってくる。良かった。私は持ってきていたポーチからある小さな袋を取り出した。
「これを持っていてください。あなた達を鬼から守ってくれるものです」
藤の花の香り袋、気休めにしかならないかもしれないけれどあなた達の幸せを守れたら良い。
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名無しになりたいフリー好き(プロフ) - 美桜さん» あ、出来ればぎゆさん相手のさねみさんの対応とか…… (2019年11月22日 23時) (レス) id: 58278cc77e (このIDを非表示/違反報告)
名無しになりたいフリー好き(プロフ) - 美桜さん» いつも楽しく読ませていただいております!ななふと申します!いきなりすみません!助けてください!さねみんのキャラが掴めません!書き方のコツとか教えていただけませんか…? (2019年11月22日 23時) (レス) id: 58278cc77e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 霞さん» コメントありがとうございます!素敵と言ってもらえて嬉しいです。こちらこそ体調管理気をつけてください!! (2019年11月21日 21時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神威さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです。あまり他作者さんの不死川さん小説読まないので自給自足してます笑更新は平日3話、休日3〜5話目安を目標にやってるんで!ニヤニヤしてもらえて嬉しいです〜! (2019年11月21日 21時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
霞 - 初コメ失礼します。素敵なお話ですね!すっかり気に入ってしまいました…!これからも楽しみにしてます!寒くなってきたのでお体に気をつけて頑張って下さい! (2019年11月20日 23時) (レス) id: da4e88d22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2019年11月9日 8時