俺の継子が煩ぇ件について【不死川実弥】

41 ページ42

*


すっごい汚い。

ゴミ捨て全然行ってなかったの、師範。え、てか洗濯物もすごい溜まってるじゃん。うわ〜！！私がいないとホントになにもできないんですねぇ、可愛い人ですねぇ〜！！


嘘泣きかまして許してもらいました。てへっ。女の武器使ってみました。最低だって言われても構いません。それが私だから。一人ドヤ顔になり、ゴミを持って外に出る。


ゴミ捨てを終え、洗濯物を数分で終わらせる。

庭に綺麗に干し終えると、師範が帰ってきた。無表情で手招きをする師範に近づけば、彼は大きな手で私の頭を撫でくり回す。これが痛いんだよ。………でも、それが私はどうやら好き、らしい。



「おやつにするぞォ」

「はいっ！お茶淹れてきますね」

「おォ」



瞬時に台所に向かって、お茶を淹れる。

ふふふっと鼻歌を歌いながら、縁側に戻った。となりに腰かけて、はいどうぞと師範にお茶の入った湯呑みを渡す。


無言で頷くそれは多分ありがとうという意思の表れだ。ちゃんと言葉にしないと伝わりませんよ〜。



「美味しいですねぇ」

「………おう」



ついこの間まで、大喧嘩していたけどやっぱりここは居心地がいい。蝶屋敷も良かったけれど、私の家はここだって思う。まあ「てめぇ帰るところねぇだろ」と前に師範に言われちゃったけど。



「………おい」

「はい？」

「てめぇの家はここだからなァ」



………お？
どうしたどうした。なんかすごく優しくない？
ふふふっと笑って、おはぎを食べる。



「師範、私もっと強くなりますね。今度は師範を殴り飛ばせるぐらいには」

「んなこと出来ねぇよ。俺がてめぇを殴り飛ばす」

「それは勘弁してください。結構痛かったんですよ」



.




「それと、『俺に継子なんていねぇ』ってかなり傷つきますよ。それ会うたびに『俺に弟なんていねぇ』って言われてる玄弥さんの気持ちが痛いほどわかりました。言葉には気をつけましょうね。ただでさえ師範は顔が怖いんですから」

「てめぇ殺すぞ」

「そういうところですよ。…………って、イタタ！痛い！」


.

42→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す