俺の継子が煩ぇ件について【不死川実弥】

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「遅ェ」

「そう言われましても。私の屋敷から不死川さんの屋敷までどのくらいあると思ってるんですか？」

「さっさと上がれェ」



胡蝶が漸く来た。

屋敷にあげ、部屋に案内している途中、胡蝶は「Aさんが風邪引くなんて珍しいですね」と言う。やはり、他の奴らから見ても丈夫そうに見えるのか。


それかコイツらも俺同様に馬鹿(A)は風邪引かねぇと思ってるのか、だ。



「あの不死川さんでも継子は可愛いものなのですね」

「可愛くねぇわ、あんなクソガキ。アイツァ昔から病気になると夜泣きが激しいんだよ。こちとら早く寝てぇのに」

「あら、夜泣きですか？」



Aは家族を鬼に殺された。

俺の後をついてきて、仕方なしに育てた。能天気だし馬鹿な野郎だ。だけど、病気に伏せるといつも夜泣きしてしまう。恐らくは家族を思い出しているんだろう。


俺も似たようなもんだ。家族を失い、たったひとりの弟を突き放して来た。親がいないのがどれほどのもんか俺にだってよくわかる。



「いつもお館様にAさんのこと聞かれて答えている時、本当に大切にされてるの伝わってきますよ」

「おめぇにも継子がいるからだろ、似たようなもんだ」

「えぇ、私はカナヲのこと可愛いと思っています。同じように不死川さんもAさんのこと可愛いと思っている、そういうことです」



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