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*
ーーー死ぬ。
鬼が扇子を私に振り下ろした。その時だった。鋭い爪のように、無数な斬撃が彼を襲う。
「…………てめぇ、帰りが遅ェんだよ」
「…………な、なんで……ゲホッ…」
私の鴉を肩に乗せ、日輪刀を下ろす。
私から離れた鬼を見て、舌打ちをすると私の前に立ち塞がった。あの時と同じように、また貴方は私を助けてくれた。
「せっかく美味しいご飯が食べれると思ったのに。…………また偉く美味しそうな餌が現れた」
「てめぇ………誰のもんに手を出そうとしてんだァ」
「ん?その子君のものだったの?稀血同士連んでるのかァ!」
あんまり話が噛み合っていないように思えるけど、助かった。思わず安堵する。顔を上げて、師範を見ればその表情は怒りに満ちていた。
地面を蹴ってその鬼に近づき、日輪刀を振るう師範を咳をしながら見守ることしかできず。あぁ、私はまだ柱にはなれない。あんな風に戦えない。強さが足りないのだと自覚する。
「君、柱かい?!柱を殺すと無惨様が喜ぶ!」
「…………俺がてめぇをぶち殺してやらァ!!」
「でも、残念だ。俺はもう行かなきゃいけない」
「……は?」
お互いに攻撃が止んだ。
鬼の方が動きを止めたからだ。そして、「君たち、次俺と会うまで死なないでね。稀血を二人も食べれたら俺はもっと強くなれるから」そう言って、鬼は一瞬で消えた。
その予想外な戦いの終わりに、私も師範も呆気にとられてしまう。息を吸えば、まだ肺が凍るように痛くなり咳を激しくしてしまう。
「おい!A、大丈夫かァ?!」
「………ゲホッ……なんとか……でも師範……なんで…」
「今は喋んなァ。すぐに胡蝶のところに連れてってやる。息吸うなよ。吸ったら殺すからなァ」
…………いや、どっちにしろそれ死にます。
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ぶどう - カッコ仮ってシュタゲかw w (2021年2月4日 21時) (レス) id: 87d010c47c (このIDを非表示/違反報告)
りんごたん - むいくん…( ;∀;)むいくんが悲しすぎる… (2020年3月1日 17時) (レス) id: b6aa212c61 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 伊黒さんのもつくって欲しいです (2020年1月26日 0時) (レス) id: 930d314957 (このIDを非表示/違反報告)
いちゅき - オチはやっぱり実弥がいいですねぇ (2020年1月25日 12時) (レス) id: e629abc83d (このIDを非表示/違反報告)
奈胡 - 毎日楽しく見させていただいてます。ありがとうございます!希望としては恋のパターン希望です〜(*'-'*) (2020年1月25日 3時) (レス) id: 6815733e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年1月11日 20時