好きな子に呪いをかけた件について【狗巻棘】

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好きな女の子に、
自分のことを知って自分だけを、
自分を好きになってほしい。



人の心は欲深いものだ。




「先日はありがとうございます五条さん」

「いえいえ〜」




ニッコリと笑顔を
浮かべる狗巻棘の隣にいる女の子。


彼女は4年前に
棘に呪言をかけられたらしい。


一定の時間を取れば
解ける呪術は未だ解けていない。


無表情で隣にいる彼は
チラリチラリとその子を
見つめていた。




「ところで今日は何をしに
私を連れてくるよう指示したんですか？」

「君にかかっている呪いを
解くためだよ。まあ詳しく言っても君
理解出来ないだろうから」



人差し指を彼女の額に
ツンと押し当てる。



脱力した彼女を
棘が抱きとめて
俺をジトリと見た。


君が抱きとめると
わかっていたからこの場で
気絶させたんだ。




「さてと、じゃあこの子は
預かるね」

「……しゃけ」

「それから、一つ」




「3〜4年かかったままの
君の呪言の呪い、解く代償に
記憶の混乱が現れるかもしれない」



記憶が全てなくなる可能性だって
あると僕の知り合いが言っていた。


運が良ければ、
呪いのことだけが記憶から
消えてなくなるかもしれない。


どうなるかは
やってみなければわからない。



目を覚ますまで待っててあげてよと
指示すると棘は小さく頷いた。



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