弟の想い人に恋をしたはなし【不死川実弥】

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実弥さんと会話をして、わかったことがいくつかある。意外にも甘党でおはぎが好物だということ。大学時代の友人がとてつもなく不愉快だけど今でも付き合いがあるということ。剣道経験もあり全国大会に出たこともあるらしい。



「……とは言っても、ラインだけど」



飯に行くか？と言われてから日にちだけが経過している。私から誘ってもいいのかなとスマホと睨めっこして数日。トーク画面で、「今日時間ありますか？」と打ち込んで送信を押そうか押さまいか迷った。


えい！と押そうとした時、誰からか着信が入り通話ボタンを押してしまった。慌てて出ると「あぁ、Aか？」と匡近くんの声がする。



「なんだ匡近くんか……」

「なんだよ冷たいなぁ。お前今どこいる？」

「大学終わって駅ぶらぶらしてるよ」

「この後予定なければ、飯行かねぇ？」



匡近くんとご飯。

せっかく結婚したんだから、奥さんと食べればいいのにと思っていると「実弥と一緒」と付け加えられすぐに行く！と答えた。匡近くんナイスだ。ありがとう。


彼らとの待ち合わせ場所の駅まで少し時間がある。マスクだから口紅いいやぁと今日持ってきていなかったので走って化粧品を取り扱うお店に入って行った。好きな色を手に取って購入すると、スキップ混じりに待ち合わせ場所まで向かう。



「おぉ、A！待たせたな！」

「…………あ？匡近、聞いてねぇぞ」

「まあまあ」



二人に近づいて、今日奥さんはいいの？と聞いてみる。どうやらお友達とご飯に出かけているらしい。匡近くんはスマホでこの辺りのお店を探し、一つピックアップした。


二人が歩いている後ろを私も歩いていく。

白銀の髪の毛に雪が降ってきて、綺麗に光っている。「玄弥に連絡入れていいかァ」と匡近くんに尋ねる実弥さんがスマホを触った。



「あの〜、お姉さん、一人ですか？」



不意に声をかけられ、足を止める。
私の前にやってきた男の人は「もしよかったら」と適当な方向を指差し誘ってくる。「すみません」と断ろうとした時、肩を引き寄せられた。



「悪ィが、俺のツレだァ」



顔を上げ、その人を確認した。
実弥さんはスマホを片手に「何か用かィ」と男の人に尋ねている。そうすれば男の人は舌打ちをしてどこか行ってしまった。


ありがとうございます、とお礼を言うと玄弥に連絡し終えたのか彼はスマホをしまい、「後ろ歩いてんじゃねぇ。隣歩いてろ」と促した。



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