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人を待つということが特に嫌そうな三人が、痺れを切らしてか一度出て行った。
カラーが終わり、連絡を入れれば近くの空き地にいるらしい。カフェの前で待ち合わせになり、お金を払って美容室を後にする。
蘭くんの紹介ということでかなりのサービスをしてくれた。髪の毛も暗くなったし、巻いてもらえてクルクルしている。
「あ、イザナ!」
見つけた銀髪。駆け寄っていく。蘭くんも竜胆くんも「髪の色暗い方が可愛い」と褒めてくれた。紹介してくれたことにお礼を伝え、イザナを見れば目が合う。
にこり、と口角を上げればイザナは視線をゆっくりと横に向けた。顔は正面なのに目は完全に横を見ていて、なんだか変な彼。
そのまま後ろを向いて「用は終わったし帰んぞ」と歩き出す。そんなイザナを捕まえて絡むのが蘭くんだ。
「スタバ飲む?」
「ありがとう。……あ、これ私好きなの」
「だろーな。イザナが決めたやつ」
「痛ぇっ!!」と蘭くんの大声。イザナにまた蹴られたのかお尻を押さえている蘭くん。イザナは「さっさと歩け、ノロマ」と先に行ってしまう。
二人に「ありがとう!」と再度お礼を言って、イザナの背中を追いかけた。真っ直ぐ家に帰るかと思いきや、お店が連なる煌びやかな街をウィンドウショッピング。
「イザナ、見てこれカクちゃんみたい」
お店に並ぶマスコットを手に取って横を見る。
すぐ至近距離で私の瞳を覗き込む。またキスされる、と目を瞑れば特に何も起きなかった。目を開ければポーカーフェイスのイザナは吹き出して笑った。
「何期待してんだよ」
ペケッと私の額を弾いたイザナは「鶴蝶に買っていくか」とそれを手に取るとレジの方へと向かって行った。弾かれた額に手を当てて、口をきゅっと噤む。
「…………期待させてんのは誰よ」
紙袋に入ったそれを私に投げ渡すイザナ。「帰るか」とバイクを停めている駐車場へと向かい、彼の背中に捕まって走り出す。
結局、髪の感想聞かせてくれなかったな。昔みたいに髪の色戻したつもりだけど。自販機の前で止まったイザナは降りて、2本の飲み物を買うと一つを私へとくれた。
それを飲んでいれば伸びてくる手が私の髪を掬い上げる。
「悪くねぇな」
「…………っ」
微笑んだイザナに私の心臓は音を大きく立てた。
視線を上げたイザナはまるで私の想いを知るかのように口角を上げ、私へとキスをする。
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時