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あれからよくイザナにキスをされるようになった。
キスだけでそれ以上のことはしてこない。羞恥心というものを持ち合わせていないのか、キスをした後もいつも通り、下手したらそのまま一緒にいたのものようにベッドで寝ているし。
……それがどことなくモヤモヤと支配していた。
「カクちゃん」
「どうした」
学校帰り、たまたま出会したカクちゃん。
公園でアイスを買ってあげ、二人で食べながらとある質問をした。
「………カクちゃんはイザナにキスされたことある?」
「は?」
「下.僕下.僕言ってる人間が下.僕にキスをするのは当たり前なの?」
目を見開き驚くカクちゃん。その反応はつまり、あり得ないってこと。二人きりになると必ずと言っていいほど、キスをされる。深い、まるで甘い果実を貪るように。全身が痺れて、イザナに委ねてしまいそうになってしまう。
ちょっとかさついていて、けど柔らかい。自分の唇に触れて、思わず思い出してしまえばみるみる顔は真っ赤になっていく。
「イザナはああ見えて優しいところがあるからな。Aも知ってるだろ?」
「うん、知ってる」
「と、とにかく俺はイザナからそういうことはさ、されたことない。断じてない。そもそも俺、男だぞ」
「そんな否定しなくても」
私と同じように顔を赤くするカクちゃん。それが面白くて両手を伸ばして顔を包み込む。「可愛いカクちゃん」と笑えばなおのこと顔を赤くしていて。
「ここだけの話だが、イザナはAのこと下.僕だなんて思ったことねぇと思う」
「え?」
「ま、俺から言うことはこれだけだ。あとは自分で聞いてみろ!」
ニッと笑うカクちゃんは、私よりも年下なのにどこか大人っぽくて。私は「聞くのは怖いな」と本音を溢した。もしも聞いたところで、イザナが私のことを嫌っていたらそれこそ立ち直れないし何より辛い。
「なあ、A。質問してもいいか?」
「うん、いいよ」
「俺のこと好きか?」
「好きだよ、だってカクちゃんだよ?弟みたいで可愛いから」
眩しい笑顔で笑うカクちゃんは「じゃあイザナのこと好きか?」と二つ目の質問をした。「うん、好き。大好き」と遊具で遊ぶ子供たちを眺めながら言い、視線をカクちゃんへも移した。
私を見て笑う彼に「なに?」と聞けば、「表情を見てた!」と言われ、思わず頬に触れる。鏡を持っていない今、確かめる方法なんて何一つない。
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (2023年5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (2023年5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時