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「え、ニィが女の子連れてきた……」
「エマ、化粧落とし貸して」
「うん、持ってくる」
数年ぶりに会った施設の友達は二人とも変わっているようで変わっていなかった。カクちゃんに至っては身長が高くなりすぎていて、見上げないといけない。
イザナは相変わらず自分が王で一番と思っているのか、私にも有無を言わせない。挙句には拉致されて、家に連れてこられた。
「何この家」
「俺ん家。今住んでる」
「妹?」
「そ」
妹がいるのは知っていたけど、あんまり似ていない。
そういえば何回かお兄さんがイザナに会いにきていたけれど、あのお兄さんの家に引き取られたのだろうか。
未だに私の手を掴んでいるイザナに離してよと声をかければ怖い顔で睨まれた。妹、エマちゃんが持ってきた化粧落としのシート。それでイザナは私の顔を思いっきり拭いていく。摩擦痛い。
「このアザなに?」
「…………ぶつけたの」
「どこで」
他の人だったら軽いジョークで済むけど、この人たちには通じないらしい。せっかく厚化粧で隠していたのに……殴られた跡。
黙ったままってのも特にイザナには通用しないから、「転んだ」と嘘をつく。そうすると、いきなり頬を掴んだイザナに「誰の許可得て嘘ついてんだ」と言われた。
「嘘じゃないって」
「お前、嘘つく時いつも鼻の穴膨らむの知らねぇだろ」
「は、イザナはいつも私の鼻を見て会話してたの?」
相変わらず長くて綺麗なまつ毛に縁取られた瞳。その目が私は苦手なの。近づけられた顔から視線を逸らして「カクちゃん助けて」と向こうにいる彼に声をかけるが助けてくれる気配なし。
「あーっ!!イザナがまじで女連れ込んでんじゃん!」
ピクリとイザナのこめかみが動く。さっきまでの表情とは一変、顔を歪ませたイザナは私から離れるとゆっくりと後ろを振り返った。
「イザナ、彼女いたのかよ〜」
「うるせぇマイキー。彼女じゃねぇよ」
私よりも少し年下そうな男の子はイザナにウザ絡みしながら私をニヤニヤして見てくる。助かった、と思いながらイザナの前から逃れてカクちゃんの背中へと隠れた。
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時