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「なぁ、竜胆」

「なに兄貴」



取引をするのに指定されたのはホテル付きのバーだった。ここではいろんな取引がされている。闇組織が使うには最適の場所だった。俺らもその一人だ。


俺の腕をツンツンと突いてくる兄貴が「めちゃくちゃ綺麗な女連れてきたら竜胆抱く?」と聞いてくる。そういうの興味ねぇし、そういう役柄のために兄貴がいるようなもんだった。



「何お前まだ高校の時の根に持ってんの?もう忘れろ〜。昔の女なんて」

「…………大体誰のせいだよ」

「お前だろ。人の話聞かねーで勝手に思い込むから。昔から悪いとこだぞ竜胆〜」



忘れられるわけがねぇだろ。
Aみたいな女はそうそういない。もう12年も経つけれど、彼女以上の女に会ったことがない。つまり言えば未練タラタラなんだ。


こういう場所を指定してくる奴らは大概女を使ってくる。だから兄貴がこの取引に使われていることも理解していた。こういうの兄貴得意だし、取引不成立の場合なんの迷いもなく女も殺せるから。



「今日は妻を連れてきましてね」

「その辺の女じゃなくて自分の嫁連れてくるとかアンタ最低だな〜」

「はは、褒め言葉と受け取っておきます」



入れ!、その言葉に扉が開き、入ってきた女に俺と兄貴は目を見開いた。心臓がまるで太鼓を鳴らすように大きな音を立てる。チラリと俺を見る兄貴に気づかないほど、俺はその女に見入っていた。


あの頃はまだ子供らしさの残るあどけない顔をしていた。今はすっかりと大人びて綺麗さを備えている。しかし顔に不釣り合いの化粧に、彼女が好きそうでない派手で露出のあるデザインのドレスはどうにも"彼女らしさ"を失わせていた。



「嫁のAです。どうですか?灰谷さん」

「あ〜、えーっと〜」



その男の隣に座るAが顔を上げた。
あの頃と違ってどんより曇った瞳をしている。兄貴を見てはにこりと笑みを作った。男がAの露出された肩をいやらしく触っていた。



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(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2021年12月25日 13時

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