41 ページ41
*
倉庫に転がる死体の山。
頭から血を流す母に、私は拳銃を地面に投げ落とした。全部終わった。終わらせた。
「……………っ」
抜け出したかった。辛かった日々の中から。だけど抜け出すことを許してくれなかった彼らを心底嫌っていた。弟を見捨てて殺した、それに妹だって私と同じような道を進ませようとしていた。
けれど、そんな親でも昔は本当に優しかった。
悪い奴らを捕まえる警察官。尊敬、していた。
両親を殺す覚悟も、好きな人に殺される覚悟もちゃんとしてきたのに。死んだ両親を目の前に、勝手に涙が溢れ出した。
「…………A、お前はこっちに踏み込むな」
「……りんど……くん……っ」
私ね、もう警察じゃないんだ。
あの時お父さんに辞表を渡したから。記憶をまた失くしたふりをし続けていた、それだけ。
「俺のこと思い出してくれただけでも嬉しいから」
「…………っ」
「お前は父親を殺してねぇよ。撃ったところは致命傷にもなってなかった。梵天の人間がお前の親父を殺して、母親は俺が殺した。………お前の弟も」
竜胆くんは「ごめんな」と言って私を抱きしめた。その温もりが暖かくてさらに涙は溢れ出す。弟が潜入していたのは彼ら梵天の組織。素性がバレて幹部に殺されたとなれば、彼も関わっていたはず。
肩に顔を埋めて「……私ね」と呟けば、上から言葉を被せられた。
「………俺、お前のことめちゃくちゃ好きだった」
「………!」
「けど俺はお前にとって、両親と弟の仇だ。それに梵天幹部灰谷竜胆。ーーーだから、もう俺に二度と関わるな」
「………竜胆くん、私……っ!!」
言葉を紡ごうとした瞬間、首に猛烈な痛みを感じて、意識を失った。遠のく意識の中で「ごめん、愛してる」と彼の声が響き聞こえた。
.
666人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時