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目を覚ませば病室だった。
あの日、後を追ってきた父に一方的に殴られた階段から落ちた。だが父も母も病室にはいなく、やはりそういう人たちなんだと再確認した。
頭を強く打ったらしい。
包帯を巻いている頭に触れた。あの時と一緒だ。事故に遭ってから目を覚ました時と同じ。
布団を握りしめると、ポロポロと涙が溢れ出た。下を向いて、歯を噛み締める。
「………………り、竜胆
同じじゃなかった。
あの時は全ての記憶を失っていた。なんで病室にいたのか分からなかった。親や兄妹のことしかわからなくて、友達のことも好きな人さえも忘れていた。
あれからいろんなことがあった。
好きな人を忘れて傷つけて、知らない男と結婚させられて酷い扱いをされ続けた。私は汚い女だ。
あの頃、竜胆くんの前で笑っていた私はもういない。父や母の道具として裏の組織に潜入してからは何もかも失ってきた。そんな私を助けてくれたのが竜胆くん、彼だった。
「ーーーあ、目を覚ましたんですね」
「………………」
ガラガラと扉を開けて入ってきた看護師。
気分はどうですか？階段から落ちたんですよ。と優しく声をかけてくれる彼女に私は少しの間黙り込んだ。
「…………あの、」
「ご両親にはご連絡入れたのですぐにくると思いますよ」
いいご両親ですねとニコニコ笑顔の看護師にずっと黙り込んだ。出て行く彼女を見届けて、私は鞄の中にあるスマホを探した。
しかし、竜胆くんや蘭ちゃんとの連絡用のスマホがないことに気がつく。奪われたのかそうしかないと思った。そして決心した。
暫くしてやってきた父や母はいつも通りだった。
「A、引き続き任務を全うしろ」
「……………任務？なんのこと？」
「お前、まさか………」
父は目を見開き一度母と顔を見合わせた。
彼らの口角が上がるのを確認して、"フリ"をし続ける。
「大丈夫だ、A。父さんと母さんの言う通りにしてろ」
「………うん」
「ワナを仕掛ける。だから灰谷兄弟をここに誘き出せ」
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました！とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます！ (2022年1月10日 18時) (
レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして素敵な作品ありがとうございます！やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます！ (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美桜
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時：2021年12月25日 13時
