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*
「…………起きた？」
目を覚ませばホテルの一室にいた。
目の前にいるのは竜胆さん。ちらりと辺りを見れば、広い部屋の窓側にあるテーブルに座る蘭ちゃんもいた。
「…………わた、し」
「わかってる。A、お前……公安警察だろ」
その言葉にガバッと起き上がり、竜胆さんの服を掴んだ。違うと否定できない。けれど、否定しなければ、警察として彼に近づいたわけではない。
「私は竜胆さんを裏切ってない……信じて……」
前にも誰かに信じてもらえずに泣いていたことがある。ただその場に立ち尽くすことしかできなかったんだ。けど、誰に対して信じてほしかったの？
「信じるよ」その言葉が痛いほど胸に沁みた。溢れ出す涙を彼は拭ってくれた。しかし視界の端に見える蘭ちゃんの殺気を含んだ視線は収まらない。私を睨んでいる。怪しまれている。
翌日、妹に見張りをつけてくれた竜胆さんと蘭ちゃんと共に東京に戻った。昨晩全てを打ち明けた私は今から両親に会うため彼らと別れなければならない。ちょっとトイレと離れてしまった竜胆さんを他所に蘭ちゃんは私に近づいてこっそり耳打ちした。
「今は竜胆がいっから何もしねぇけど、次裏切り者ってわかったら殺すからな」
「……………」
視線を上げれば交わる視線。
腰に押しつけられているのはチャカ。私は深呼吸をして、「竜胆さんを思い出せる協力をしてほしい」と頼んでみた。
＊＊
『お姉ちゃん、これ返すね。記憶失った時にお母さんと一緒にお姉ちゃんのもの捨てた時にこっそりとっておいたの！』
『…………これ……っ！』
見覚えがあったのは昔何故か大切にしていたブレスレット。記憶を失った中でも唯一私が覚えていた宝物だった。
それを片手にして、実家に戻れば家の前には父がいた。「待ってた」と言う父を睨み、辞表を書いた封筒と警察手帳を父の胸に押しつけた。
「金輪際、妹と私に関わらないで」
そう投げて踵を返した。
階段を降りていると、後ろから足音が聞こえてくる。振り返れば手を上げる父。頬に感じる痛みと共に足を踏み外した。
「…………っ！！」
頭をぶつけながら落ちていく。思っても見なかったのか、父の声が聞こえてくる中、必死に立ち上がった。早くここから離れなきゃ、その一心だった。けれど、グラグラとする中私は二度も階段から足を踏み外したのだった。
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました！とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます！ (2022年1月10日 18時) (
レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして素敵な作品ありがとうございます！やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます！ (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美桜
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時：2021年12月25日 13時
