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『お姉ちゃん、私を守ろうとしてくれてるんです。父も母も冷酷な人間だと兄を経由して聞いています。多分、お姉ちゃん、両親に脅されているんじゃないでしょうか』




Aの妹が言っていた。
警察上層部である両親は、Aの弟を見捨て、Aを使って潜入捜査までさせていたと。次は自分の番なのではないかとビクビクしながら生活をしていたが、姉のAが気にかけてくれていたお陰で何不自由なく幸せな日を過ごしている。



『小さい頃よくお姉ちゃんが話してました。好きな人がいるって。灰谷さん、貴方ですよね?』
『…………本人記憶がねぇからわかんねぇけど、それだったら俺は嬉しい』
『そうだと思いますよ。いつも楽しそうにその人の話してました。バイクの後ろに乗るのが好き、繋いでくれる手が好き、ちょっとお兄ちゃん子だからお兄さんに妬いちゃうって』




笑顔でAのことを話す彼女はそう言って、目を伏せた。Aは警察になんてなりたくなかったのだと彼女はそう言った。だけど、両親が警察であるから子もまた同じような道を進まされた。


今自分がこの大学に進めているのは姉のお陰だと感謝していた。両親にAが働きかけなければ、自分も警察の道を歩んでいただろうと。



『警察と犯罪者。決して交わることはない関係。だけど、お姉ちゃんは全てを投げてでも貴方といることを選ぶと思います。事故の前日、お姉ちゃん言ってました。明日、竜胆くんに告白するって』
『………………』
『灰谷さん、お願いします。姉を救ってください。父や母の呪縛から解放させてあげて。お姉ちゃんに会えなくなってもいいから、姉の幸せそうな姿を見たいんです』




Aは笑顔が溢れる人間だった。
だから、何も共通点がなかった俺は、笑う彼女に好きになって必死になって関係を作った。俺にはもったいないぐらい優しい人間だ。

その妹も、弟も優しすぎる。
俺にとって兄貴は世界一信用でき、世界一の家族であるのと同時に彼女にとって妹も弟も世界一大事だったんだろう。



「お前、ホント見る目ねぇな竜胆〜」

「兄貴、それ以上Aのこと侮辱したら俺許さねーよ」



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(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2021年12月25日 13時

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