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「あの、竜胆さん」
「おう」
Aに妹がいたことにはびっくりだ。弟がいるとは前に聞いていたが、妹もいて年も離れているだなんて。髪の毛は短いが顔の作りや笑い方はあの頃のAと同じだった。
初対面で二人きりにされてしまったが、妹の俺への好感度でも上げておくかと考える。しかし、どう考えてもカタギではない自分に好感度なんて上がらないだろう。
「姉を助けてください」
「……は?」
思ってもみなかった言葉に聞き返す。
彼女は飲んでいた紅茶をテーブルに置いて「……うちの親は最低な人間なんです」と小さく呟いた。あの時のAの言葉が脳裏で再生されると共に「どうして?」と問いかける。
Aの妹は携帯を開くと「兄は親に殺されたと同じなんです」と写真を見せてきた。見覚えのある男の顔。仲睦まじく映るの三人の兄妹。
「………Aの弟って、」
「兄は父と母の命により、ある組織に潜入してそのまま殺されたそうです」
「…………」
自分が人生で一番愛した女の弟の命を奪ったことに加担していた。Aの妹は「父も母も兄を見捨て、次は姉を使い始めました」と次々に話していく。
俺の反応なんて知らねぇのか、それともわかっていても話し続けているのか少しわからない。しかし、ある組織への"潜入"そして"命令"。その二つの言葉に、冷や汗が落ちていく。
「俺、お前の姉ちゃんのことが昔から好きだった。再会した時に泣いていたAを助けたんだ。……本当のことを教えてほしい。お前の親はなんなんだ?」
「父と母は警視庁でも上層部ですよ。姉から聞いてませんか?それにお姉ちゃんも表には顔を出してませんが警察です」
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時