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事故に遭ってから何年経っただろうか。
目が覚めたとき、何が起こったのか全く覚えていなかった。お母さんとお父さんは「事故に遭ったんだよ」と教えてくれた。しばらく大事をとって入院し、退院した。
久しぶりに学校に行ったホームルームの後。違和感を感じ始めた。勢いよく開いた教室の扉から顔を出した男の子は必死な面持ちで「ごめん、俺のせいで」と私を抱きしめた。
ーーー誰なのかわからなかった。
初対面のはずなのに彼は私を知っていて。「誰？」と聞いた時の彼の顔が未だに脳裏にこびりついていて剥がれてくれない。
あれから数年。警察官だった親は私を道具として使った。三つ下の弟は警察官だったが、一年前に死んだ。今心にはポッカリとふたつの穴が空いていた。一つは弟を失った喪失感から、もう一つは誰が空けたものなのか未だにわからないでいた。
そして今の私は素性を隠してとある裏組織の男と結婚した。掴んだ情報を警察組織の中でも上に立つ父親に横流しするためだった。
両親は私と弟を仕事のために必要な道具としてしか見なかった。弟は潜入捜査に使われ、母に助けを求めたのにも関わらず助けなかった。そして海で遺体となって発見された。
弟の葬式で涙すら流さない彼らには血が通っていないに違いない。
今だってそうだ。振るわれる暴.力。もう抜け出したかった。いくら体力をつけてきた私ですら大男の力には負ける。殺されるんじゃないかともうこの捜査をやめて家に帰りたいと言ったが父に頬を殴られた、それだけだった。
「……………おい、取引に行くからお前も着いてこい」
「はい」
この男だってそうだ。
最初は私の容貌に惚れたと言って何も知らずに結婚を申し出てくれた。けれど、実際は私を道具として使う。取引の材料となって、取引相手の男と寝ろと言い出すんだ。
綺麗に化粧をして、派手で露出のある服に腕を通して、彼や取引先の男が好みそうな女に仕上げていく。親に今から取引とだけメールを送り、腰を上げた。
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました！とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます！ (2022年1月10日 18時) (
レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして素敵な作品ありがとうございます！やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます！ (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美桜
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時：2021年12月25日 13時
