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妹が大学を決める時、私は家を離れるようにいつも言っていた。現在大学2年生の妹は少し歳が離れている。母や父と一緒にいればいつか彼女も夢を捨てて警察の道に進まなければならない。
『お姉ちゃん、私学校の先生になるよ!』
『…………私が守るから、安心して夢を追って』
『?うん!』
まだ学生の妹は、両親が私利私欲のために私たちを道具として使っていることを知らない。だから、弟が死んだのも何かに巻き込まれただけだと思い込んでいる。
九州という離れた地に送り出すのは少し不安だったけれど、手の届きにくい場所の方が良かった。警察学校に行けと反対していた両親に私が頭を下げて、行きたい大学に進むようにしたものの、今でもやはり良くは思っていない。
『………………もうお父さんの指示には従えない。……公安警察も辞めます。………思い出したいんです、灰谷竜胆のこと』
『…………辞めたければ辞めればいい。使えない物は処分して、新しいものを用意すればいいだけだしな。………確か____がいたか』
父の口から出てきた妹の名前に私は酷く体が震えた。
九州に行くと伝えて家を出れば、竜胆さんも着いてきた。妹に反社の人を会わせるのは少し気が引けるけれど、今は気にしてられなかった。
飛行機に乗って福岡に着けば、妹が手を振って出迎えた。大切な妹を抱きしめて「お母さんから何も連絡はない?」と恐る恐る聞けば「ないよ」と笑顔で答えた。
そして彼女は私の後ろにいる竜胆さんを見つめては「お姉ちゃん、誰あの人」と首を傾げた。
「………灰谷竜胆さん。今お世話になってる人」
「え!竜胆?お姉ちゃん思い出したの?竜胆くんのこと!」
「なんで竜胆さんのこと知ってるの?」
「だってお姉ちゃん、高校生の頃、竜胆くんの話ばっかりしてたじゃん。好きな人だったんでしょ」
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時