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午後一番で急な呼び出しを受けた蘭ちゃんは仕事に行ってしまった。私は暇を持て余してしまい、ぶらぶらと街を歩いていた。
道に迷い、人気のないところまで来てしまう。やばいと方向転換し、きた道を戻ろうとすればいきなり手を掴まれて路地裏に引っ張られていく。口を手で塞がれて叫べない。
どうしようと恐怖心が募っていく。
しかし、次の瞬間「悪い、驚かせた」と声が降ってくる。口が開放されて、息をたくさん吸い後ろを振り返る。そこには竜胆さんがいた。
「………あんま今の姿は見られたくねーな」
「………………」
スーツに血が付いている。
日本最大の犯罪組織。殺人にも手を染めているのは知っていた。だけど、こうして他人の返り血を浴びている彼を見るのは少し怖かった。
「この辺危ねぇからさっさと離れろよ」
「………うん」
「兄貴も仕事なんだろ。部下に迎え用意させるから。表通りの○○ビルの前にいろ、いいな?」
片手で誰かに電話している彼をじっと見つめた。怖いけれど、返り血が似合うと思ってしまう私はどこかおかしいのだろうか。
電話を終えた竜胆さんに「今日、帰ってきますか」と聞いてみた。昨日は帰ってこなかったから、今日も帰ってこないのだろうかと考えていた。ちょうど会えて良かった。
「……………帰るよ」
「ほんと?」
「おう。俺、Aといるの楽しいし」
『俺、Aといるの楽しいし、好き』
手を伸ばして、竜胆さんの頬に触れた。ビクッと反応する彼に、「血がついてる」と拭ってあげる。竜胆さんはよく照れた表情を見せる。女の人に免疫がないのか、他の人にもこんな反応なのかなと最近は少しモヤッとしていた。
「…………同じ言葉……、前にも私に言ってくれなかった?」
「え?」
「…………って、おかしいよね。そんなはずないのに、」
あはは、と苦笑いを浮かべて「じゃあお仕事頑張ってね」とにこりと手を振った。
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*今年一年ありがとうございました!また来年も作品共々よろしくお願いします!
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時