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襟足の髪を纏めて、首元の刺青が隠れるハイネックのトップスにジャケットを羽織った。着替えの服がなかった彼女のために、先日買ってきておいたワンピースといくつか見繕って買ってきておいたメイク道具を渡した。
「………すごいね、私こういう服が好きなの」
「(知ってる)」
昔、派手で露出のある服は苦手だって言ってた。それに昔何度かデートに誘った時の服装を覚えていた。だからシンプルだけど引き立つような淡い色のワンピースを買ってきた。スラリとした体によく似合っている。
あの日とは違って今日は薄づきの化粧があしらわれていた。口元にはほんのり桃色が乗せてある。
「兄貴は行かねーの?」
「行かね〜。デートしてこいよ」
「……じゃあ行ってくる」
ほんの少しだけ高いヒールを履いたAに腕を貸せば遠慮がちに腕を掴んだ。「どこ行く?」と聞けばどこでもいいと言う。
どうやらあの男と暮らしていた時、昼間は買い物に出て行くことすら禁止されていたらしい。必要なものは部下が買ってきていたか、男が適当にあしらっていたようだ。
「こんなに買ってもらって、大丈夫?」
「おう、安いもんだわこんぐらい」
「ありがとう」
一人だけ部下を待機させていた。
荷物は全てソイツに任せて、次の場所へと行く。服だけじゃなくて、メイク道具や生活必需品。諸々を買った。
買い物をしていれば途中警察らしき人間を見つける。俺よりも先に身を隠したAに不思議と首を傾げた。
「他には欲しいもんねぇか?」
「うん、大丈夫。たくさん買ってくれてありがとう」
「全然、お安い御用」
途中でカフェに立ち寄って、軽くランチを済ませる。
「どっか行く?」と聞いてみると、彼女は「うん、行く」と笑って見せた。車を走らせて、向かう場所は一つ。
「………わ、海!」
「好きだろ?」
「え?」
昔よく来てたから。
好きだと言っていたからいろんな海を見せてやった。ここも昔来たことあるけど、多分記憶にはないだろうな。
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ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。そっと竜胆くんたちを見守らせていただいておりました。番外編もありがとうございました!とても癒されました。次回作も楽しみにお待ちしてます! (2022年1月10日 18時) (レス) @page46 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして素敵な作品ありがとうございます!やっぱ美桜さんの作品好きすぎる、、、次回も楽しみにしてます! (2022年1月10日 11時) (レス) @page46 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年12月25日 13時